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「英国のEU離脱(Brexit)」(欧州)【キーワード】

2016年1月7日

<今日のキーワード>
「Brexit」は、「Britain(英国)」と「exit(離脱)」を組み合わせた言葉で、「ブリクジット」と読みます。キャメロン首相が率いる保守党は、「英国のEU(欧州連合)離脱」を問う国民投票実施を公約に掲げて、昨年5月の総選挙で下院の過半数を獲得しました。同首相は昨年11月にEU改革を要求しており、これに満足いく進展がないと「離脱」を支持する世論が高まりそうです。

【ポイント1】4項目の改革要求

EU域内から英国への移民の差別的扱いに中東欧諸国が反対
■キャメロン首相はEUのトゥスク大統領に4項目の改革を要求しました。特に、EU域内から英国への移民に対して、最低4年間の英国への居住と社会保険料納付を義務づけることを求めました。

■昨年12月の欧州首脳会議では、中東欧などの多くの国が英国の要求に反対を表明し、次回2月18日~19日の会合での合意を目指すとの決定にとどまりました。

【ポイント2】移民への福祉制限がポイント

EU内の経済格差が背景
■英国は、経済が堅調なこと、社会保障給付が他のEU加盟国よりも手厚いことなどから、移民が増加傾向にあります。その結果、英国籍労働者の雇用や財政負担に懸念が増し、移民への福祉制限を求める国民の声が高まっています。

■同首相は、改革がEUと合意された場合、「EU残留を支持」し、合意されなかった場合、「いかなる案も排除しない」考えです。改革要求に対するEU内の合意形成が、「英国のEU離脱」を回避する鍵です。

【今後の展開】国民投票は早ければ年内実施、市場の変動の高まりに注意が必要

離脱による損失は巨額との試算も
「英国のEU離脱」により、英国の受ける経済的損失は大きいとの見方が優勢です。主に「モノ」と「カネ」の移動が制限されることで、英国では将来年間1人当たり65万円の損失になるとの試算もあります。英国商工会議所の調査では、約4割の加盟企業が「悪影響」と答えました。

「英国のEU離脱」は、改革要求の成果次第
英国の昨年11月の世論調査は、EU残留支持と離脱支持は拮抗し、EUとの交渉の成果により残留の支持が高まる結果となっています。離脱の可能性が高まれば、金融市場の変動が高まる可能性があり、今後の交渉に注意が必要と見られます。

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