ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,361】株主総会と日本の「企業統治」の行方(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,361】株主総会と日本の「企業統治」の行方(日本)

2014年7月1日

1.株式会社における「企業統治」とは?

 「企業統治」はコーポレート・ガバナンスとも呼ばれ、企業価値の最大化という目標に向け、経営者層を監督・動機づけし、経営を維持する仕組みを指します。株式会社のオーナーは株主であり、多くの場合、経営者が会社を所有するわけではありません。株主にとって経営者層は「経営のプロによる代理」です。ただし、経営者の行動は「リスクを取りたくない」、「業績等に関わらず、待遇を良くしたい」など、株主の意向に沿わない可能性もあります。「企業統治」はこうした利益相反を解決するための仕組みです。

2.最近の動向

 日本では先週6月27日に株主総会のピークを迎えました。同日に総会を開いた企業は533社(東証1部上場)に及びました。
 今年の総会の最大の話題は、「企業統治」です。東証によれば、今年の株主総会で社外取締役を置いた1部上場企業は、全体の74%まで高まりました。
 背景には、海外勢の株式保有比率の上昇が挙げられます。投資主体別では、「外国法人等」は今年3月末時点で、日本株の3割超を保有する、筆頭株主となっています。
 実際、世界有数の年金運用機関・米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は、今年の総会を前に、投資先の大手日本企業に対し、社外取締役を増員するよう求めてきました。

3.今後の展開

 企業統治の洗練を求めるのは、海外勢だけではありません。折りしも、6月20日に成立した「改正会社法」は、社外取締役を置かない企業に、総会でその理由を説明することを義務付けました。企業統治のテコ入れは、「アベノミクス」の一環とも言え、社外取締役の設置・増員は、不可避の潮流ともなりそうです。
 内外の株主が期待するのは、今回のような企業統治のテコ入れが、資金使途の積極化につながることです。例を挙げると、日本企業の2013年度末の利益剰余金(内部留保、金融機関除く)は、300兆円余りに達しました。これは日本企業の資金使途の消極性を示すとの声にもつながりましたが、仮に今後、企業買収や設備などへの投資、株主還元に使われれば、日本株の評価要因ともなり得ます。「企業統治」は将来の日本の経営のあり方や日本株の魅力と密接に関わるテーマであり、中長期的に注目されそうです。

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