ホームマーケット日々のマーケットレポート過度な悲観が一服した「街角景気」(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

過度な悲観が一服した「街角景気」(日本) 【キーワード】

2016年8月10日

<今日のキーワード>
「景気ウォッチャー調査」は、内閣府が毎月実施する景況感に関する調査で「街角景気」調査とも呼ばれます。タクシー運転手やコンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。3カ月前と比べたその時点の景気と、2~3カ月先の景気予測を調査します。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。

【ポイント1】現状判断DIは4カ月ぶりに上昇

12カ月連続で50を下回ったが、ほとんどの項目で上昇

■2016年7月の「景気ウォッチャー調査」によると、「街角景気」の実感を示す「現状判断DI」は、前月比3.9ポイント上昇の45.1となりました。景況感の節目である50を12カ月連続で下回りました。項目別では、住宅関連を除くすべてが上昇しました。

■街角の声には、「熊本地震以降激減した客が夏季休暇に入ったことで戻り始めたので、風評被害は回復しつつある」(九州・観光名所)や、「新規求人数及び有効求人数が増加傾向を示している。製造業などでも正社員求人が増加している」(北関東・職業安定所)などがありました。

【ポイント2】先行き判断DIも改善

経済対策によるマインド好転に期待

■2~3カ月後の景気を聞いた「先行き判断DI」は、5.6ポイント上昇の47.1となりました。こちらはすべての項目において改善しました。

■街角の声には、「世界経済の悪化による影響については想定できない」(九州・百貨店)というように、先行きへの不安の声が聞かれました。一方で、「欧州の政情不安が一段落し、株価が戻ってきたほか、政府の経済対策が決定することにより、消費マインドが幾分回復してくる」(近畿・百貨店)との期待も見られました。

【今後の展開】過度な悲観は一服、大型の経済対策の効果発動等に注目

■今回の調査では現状・先行きともに大幅に上昇しましたが、ともに中立水準を未だに下回っています。年初からの円高・株安、熊本地震、英国のEU離脱選択等による過度な悲観が一服した程度で、景況感の十分な回復には至っていません。

■今後は、日銀による更なる緩和への期待が続くことや、産業構造改革などを柱とする総額28兆円超の大型経済対策の実行とその効果発動等が見込まれます。これらによって中立水準を下回り続ける消費者心理が次第に回復していけるか注目です。

関連マーケットレポート