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イエレンFRB議長の「議会証言」(米国) 【キーワード】

2016年6月23日

<今日のキーワード>
米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、年2回、通常は2月と7月に金融政策報告書、通称ハンフリー・ホーキンス報告書を議会に提出し、これに併せて上院の銀行委員会と下院の金融委員会で議長が証言を行います。最大雇用と物価安定の実現という、FRBの二つの責務達成への見通し、方策が確認できます。毎年、決められた時期の証言として、注目を集めています。今年は2月と6月に実施されました。

【ポイント1】緩やかなペースでの利上げが適切

経済見通しに対して、不確実性が大きい

■6月21日に上院銀行委員会において行った「議会証言」で、イエレンFRB議長は慎重なペースでの金融緩和解除が適切であると改めて述べました。FRBの経済見通しに対する不確実性が大きいというのが理由です。

■不確実性として、①最近の雇用者数や設備投資の増勢鈍化、②ここ数年の労働生産性上昇率の鈍化、③海外経済の減速、④投資家のリスクに対する認識、選好が急激に変化する可能性を指摘しました。

【ポイント2】景気後退の可能性は低い

Brexitを注視

■海外の情勢については、中国経済の減速のほか、イギリスの欧州連合(EU)離脱の問題(Brexit)を挙げ、6月23日に予定されている英国民投票の結果次第では、経済に重大な影響が及ぶ可能性があると述べました。

■もっとも、会見後の質疑応答で、米国が景気後退に陥る確率はかなり低いと語りました。最近の雇用鈍化には注意を払っているが、個人消費が再加速しており、過去の景気後退局面で見られたような状況は現在のところ確認できないとの見方を示しました。

【今後の展開】緩やかな利上げ継続で、景気拡大の基調は持続しよう

■市場の足元の関心は「Brexit」
今回の証言はイエレン議長が6月6日に行った講演の内容に沿ったものだったうえ、イギリスの国民投票に関心が集まっていることから、「議会証言」そのものが市場に及ぼした影響は限定的でした。

■緩やかな利上げで景気は拡大基調を維持へ
海外の情勢には引き続き注意を払う必要がありますが、利上げペースが緩慢なものになることから、景気は緩やかながらも拡大基調を維持する可能性が高いと考えられます。

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