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【デイリー No.1,906】ユーロ圏の金融政策(7月) ~政策据え置き、新供給措置の詳細発表~

2014年7月4日

<ポイント>
・欧州中央銀行(以下、ECB)は政策金利を0.15%の過去最低水準に、預金金利を▲0.1%に据え置きました。
・新たな資金供給措置を2016年までに計8回実施し、最大1兆ユーロ程度が供給される可能性を示しました。
・ただし、低成長局面では貸出増加も限定的と見られ、ECBは資産購入を含む追加策の検討を続けそうです。

1.政策を据え置き、新たな資金供給策の詳細発表

 ECBは3日、リファイナンスオペ金利(政策金利)を過去最低の0.15%に据え置くことを決定しました。前回6月に決定した預金金利をマイナスとする措置も据え置きました。
 また、6月に発表済みの市中銀行への資金供給措置「TLTRO(ターゲットを絞った長期リファイナンスオペ)」の詳細が示されました。同措置は、今年9月から2016年6月まで、四半期に一度のペースで、計8回行われます。
 なお、理事会の運営方針が変更され、2015年1月分からは毎月ではなく、6週ごとの開催となります。同1月から議事要旨も発表される予定です。

2.最大1兆ユーロの資金供給の可能性

 TLTROによる資金供給額は、民間向け貸出(住宅ローン、金融機関向け除く)の7%までとされています。4月末の残高に基づくと、規模は最大4,000億ユーロですが、ドラギ総裁は累計では最大1兆ユーロに達する可能性があると言及しました。同総裁は、融資期間が最長4年、貸出時の政策金利に0.1%上乗せという低金利(固定)を適用するこの措置が「きわめて魅力的」として、利用拡大に自信を示しています。

3.今後の見通し

 ユーロ圏では、消費者物価指数の上昇率(6月は前年同月比+0.5%、目標は年+2%をやや下回る水準)に底入れの兆しは見えていません。また、6月に新たな銀行貸出の促進策が導入されたものの、低成長のなかでは貸出増加は限定的となりそうです。このため、ECBは物価動向を確認しながら、より強力な緩和措置である資産担保証券(ABS)購入などの検討を続けると思われます。ECBは景気・物価見通しに対するリスクについて、今会合でも下振れ方向としているものの、ECBの追加緩和策への期待は、景気・物価への懸念を和らげそうです。
 ユーロ圏の株式市場では、政策への期待感や低金利環境に加え、米中景気の持ち直しなどを背景に、企業業績も上向く見通しであり、株価は底堅く推移しそうです。債券市場では、今後の政策への期待や金融緩和の期間が長引くとの観測から、債券価格は底堅く推移しそうです。為替市場では、ECBの追加緩和策への期待が続く一方、日銀にも根強い追加緩和観測があることなどから、ユーロ円相場は一進一退となりそうです。

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