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【デイリー No.1,900】最近の指標から見る米国経済(2014年6月)

2014年6月26日

<ポイント>
・5月の非農業部門雇用者数は前月比+21.7万人と、4カ月連続で20万人超となり、失業率は横ばいでした。
・5月のISM景況感指数は製造業、非製造業ともに新規受注指数が上昇し、当面堅調さが続くことを示しました。
・5月のコア消費者物価指数は前年同月比+2.0%と、2013年2月以来の2%台へと上昇しました。
⇒米国経済は景気の復調が鮮明となり、2015年、2016年は3%前後の成長が見込まれています。QEは今秋にも終了し、雇用の質の改善や物価上昇などに伴い、2015年後半以降の利上げが見込まれます。

1.雇用者数は堅調に増加、景況感は高水準を維持

①雇用統計
 5月の非農業部門雇用者数は前月比+21.7万人でした。雇用者数の増加は4カ月連続で20万人超となりました。また、5月の失業率は6.3%と前月と同水準となりました。
 民間部門を業種別に見ると、建設業や小売業では増加ペースがやや鈍化したものの、製造業や教育・医療、レジャー・娯楽業では一段と雇用者が増加しました。このほか、サービス部門では幅広い産業において雇用が増加しており、雇用創出のすそ野が広がっていることがうかがえます。
 FRBは18日に公表した経済見通しで、このところの雇用者数の増加や、失業率の基調的な低下を受けて、失業率の見通しを全期間にわたり小幅に引き下げました。2014年10-12月期は6.0%~6.1%としました。

②ISM景況感指数
 5月の製造業景況感指数は前月比+0.5ポイントの55.4ポイントと4カ月連続で上昇しました。また、5月の非製造業景況感指数は同+1.1ポイントの56.3ポイントと3カ月連続で上昇しました。
 それぞれの内訳をみると、製造業は足元の活動を示す生産指数が大幅に上昇し、生産活動の先行きを示す新規受注指数も同+1.8ポイントと、一段と上昇しました。また非製造業では、足元を示す企業活動指数や先行きを示す新規受注指数が前月から上昇してともに60ポイント超となり、中立水準の50ポイントを大きく上回る水準を維持しています。
 製造業、非製造業ともにここ数カ月連続して指数は上昇しており、過去と比べ高水準に達しています。先行きの景況感は引き続き好調さが維持され、好調な経済活動が続くと見込まれます。

2.物価は一段と上昇、住宅販売は持ち直す

①消費者物価
 5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.1%と、3カ月連続で上昇しました。また、変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指数は同+2.0%と、2013年2月以来の2%台へと上昇しました。居住費の緩やかな上昇が継続していることが、CPIの上昇に影響しています。
 一方、FRBが目標とする個人消費支出(PCE)価格指数は4月に前年同月比+1.6%となり、3月の同+1.1%から大幅に上昇しました。現地26日に発表される5月分は、市場予想(ブルームバーク予想)では同+1.8%と、さらなる上昇が見込まれています。足元の大幅な上昇は前年同月の下振れに対する反動の面も大きいと考えられますが、FRBが長期目標とする2%に向けて、今後は緩やかに上昇すると見込まれます。

②住宅販売件数
 5月の中古住宅販売件数は前月比+4.9%の489万件となりました。また5月の新築住宅販売件数は同+18.6%の50.4万件と、2008年5月以来の50万件超となりました。中古、新築ともに市場予想を上回り、2カ月連続の増加です。
 4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数(20都市平均)は前月比+0.2%と、住宅価格の上昇は一段と緩慢になっています。しかし、販売件数や在庫などからみて、住宅市場は年末年始の寒波の影響による減少が底入れし、持ち直しつつあると考えられます。今後は低金利が続くと見込まれることや雇用環境の改善とともに、緩やかに回復すると見込まれます。

3.今後の市場見通し

 企業景況感は現状、先行きともに中立水準を大きく上回っており、今後も好調さが維持されると見込まれます。また雇用環境は、雇用者数が失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~20万人を超える水準で堅調に増加しています。2014年1-3月期のGDP成長率は前期比年率▲2.9%(確報値)と、比較的な大きなマイナスとなりましたが、4-6月期以降は内需を中心に持ち直し、同+2%台後半の成長へ回復すると予想されます。
 FRBは、2014年1-3月期の減速を受けて、2014年の経済成長見通しを大幅に引き下げたものの、2015年、2016年は3%前後の見通しを据え置き、今後景気回復が加速すると見ています。こうしたことから、2014年初から開始されたQEの縮小は、今後もこれまでと同様のペースで継続され、今秋にも終了すると見込まれます。ただし、雇用については長期失業者の多さが指摘されているほか、賃金上昇率は前年比+2%程度の低水準にとどまっており、FRBは物価上昇とともに利上げへ向けて注視しています。今後もこうした雇用の質の改善や物価動向などが幅広く点検され、利上げのタイミングは2015年後半以降になると見込まれます。

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