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市川レポート

REPORT

【No.513】イタリアの政局混乱がユーロ相場、日本株に与える影響

2018年05月30日

●議会が親EU派のコッタレッリ氏による新内閣を信任せず、大統領が議会を解散すれば、総選挙に。
●市場には動揺がみられるも、ユーロ圏全体に景気減速や金融システム不安が広がることはなかろう。
●イタリアの政局混乱に起因するリスク回避の動きは一時的なものだが、しばらく警戒が必要と考える。

議会が親EU派のコッタレッリ氏による新内閣を信任せず、大統領が議会を解散すれば、総選挙に

イタリアの政局混乱を受け、金融市場に動揺が広がっています。イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と極右「同盟」が推薦した法学者のジュセッペ・コンテ氏が、5月23日に新首相に指名され、組閣準備を進めていました。しかしながら、欧州連合(EU)懐疑派のサボナ元産業相が経済相として入閣することにマッタレッラ大統領が反対し、コンテ氏は5月27日に組閣を断念しました。

マッタレッラ大統領は5月28日、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を次期首相に指名し、組閣を命じました。しかしながら、EUとの関係見直しを掲げ、財政拡張を主張する五つ星運動と同盟が、親EU派で緊縮財政に理解のあるコッタレッリ氏による新内閣を信任する可能性は低いと思われます。議会で新内閣が不信任となった場合、大統領は議会を解散し、70日以内に総選挙が行われることになります。

市場には動揺がみられるも、ユーロ圏全体に景気減速や金融システム不安が広がることはなかろう

5月29日の欧州市場では、イタリア10年国債利回りが3%台に急騰(価格は急落)、主要株価指数であるFTSE MIBは前日比2.65%下落しました。また、ユーロは対ドルで1ユーロ=1.1510ドル水準まで下落し、対円では日本時間5月30日未明、1ユーロ=124円62銭水準の安値をつけました。弊社では、9月頃にイタリアで総選挙が行われ、その結果、五つ星運動と同盟が過半数を獲得する可能性が高いとみていますが、すでに市場は、このシナリオを織り込みつつあるように思われます。

なお、①政局混迷によるイタリアの景気減速がユーロ圏に広がる場合、②イタリアの政府や銀行が資金調達難に直面し、金融システム不安がユーロ圏に広がる場合、市場は更に動揺する恐れがあります。①について、弊社はイタリアの経済成長率が押し下げられるリスクはあるものの、ユーロ圏全体では、米国の財政拡大やユーロ安が輸出を下支え、潜在成長率(1%台前半)を下回る公算は現時点で小さいと考えています。また、②について、ユーロ圏では金融危機に陥った国に対し、欧州安定メカニズム(ESM)が金融支援を行うなど、金融システム安定のための制度が整備されています(図表1)。

イタリアの政局混乱に起因するリスク回避の動きは一時的なものだが、しばらく警戒が必要と考える

以上を踏まえれば、イタリアの政局混乱が、ユーロ圏全体の景気や金融システムに及ぼす影響は限定的と思われます。そのため、市場がイタリアの総選挙と選挙結果の織り込みを終えた時点で、動揺はいったん落ち着くとみています。また、実際に総選挙で五つ星運動と同盟による連立政権が発足しても、今回の市場の動揺を受けて、財政支出はより現実的な規模になることも想定されます。

イタリアの政局混乱に起因するリスク回避の動きは、一時的なものと考えていますが、しばらくは警戒が必要です。ユーロドル、ユーロ円、ドル円、日経平均株価について、目先のユーロ安、円高、株安方向のチャートポイントをまとめたものが図表2です。日本株は、業績予想を上方修正する企業があるとしても、発表は次の四半期決算まで待たざるを得ないため、しばらくは円相場をにらみ、思惑主導で上下する展開が予想されます。

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