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市川レポート

REPORT

【No.534】最近の米短期金融市場の動きについて 

2018年07月20日

●6月のFOMCでは、FF金利の上限であるはずのIOERは、2.00%ではなく、1.95%に設定された。
●背景にあるのは複数要因による米短期金利の急騰と、これによる実効FF金利への強い上昇圧力。
●ただ、米短期金利急騰は収束しつつあり、FRBの資金繰りや、金融政策に大きな支障はなかろう。

6月のFOMCでは、FF金利の上限であるはずのIOERは、2.00%ではなく、1.95%に設定された

米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月12日、13日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、1.50%~1.75%から1.75%~2.00%へ引き上げると同時に、超過準備預金金利(Interest On Excess Reserves、IOER)を1.75%から1.95%へ引き上げました。IOERとは、民間金融機関がFRBに預け入れている準備預金のうち、法定準備額を超えた分についてFRBが支払う金利です。

FRBは、今回の利上げ局面において、FF金利に上限と下限を設定し、これらを引き上げることで利上げを行っています。その上限がIOERで、下限は翌日物リバースレポ金利(Reverse Repo Rate、RRP)という、FRBが民間金融機関から米国債を担保に資金を借り入れる際に支払う金利です。ただ、6月のFOMCでは、FF金利の誘導目標(1.75%~2.00%)に対し、上限であるはずのIOERは2.00%ではなく、1.95%に設定されました。

背景にあるのは複数要因による米短期金利の急騰と、これによる実効FF金利への強い上昇圧力

これには、FF金利の日中平均値である実効FF金利に、強い上昇圧力が生じていることが関係しています。図表1の通り、実効FF金利は春先以降、上限のIOERに近い水準で推移するようになりました。そのため、FRBは、1.75%~2.00%のFF金利誘導目標に対し、IOERの引き上げを1.95%にとどめ、実効FF金利が誘導目標のレンジ内で安定推移するよう、技術的に対処しました。

実効FF金利上昇の背景にあるのは米短期金利の上昇です。3月にはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)などが急騰しました。その理由として、①財政拡大に伴い、米短期国債(T-bill)が増発され、需給悪化が短期金利の上昇につながった、②米税源浸食濫用防止税(BEAT)により、外国籍企業の米国子会社は、親会社借入への利払いに課税されるようになったため、米国内での資金調達に切り替え、短期金利の上昇につながった、などが挙げられます。

ただ、米短期金利急騰は収束しつつあり、FRBの資金繰りや、金融政策に大きな支障はなかろう

ただ、4月以降、米ドルLIBORは上昇が一服し、足元までほぼ横ばいで推移しています。一方、T-billの利回りも、ほぼ政策金利に沿った動きに回帰し、緩やかな上昇傾向がみられます。その結果、LIBORとT-billの差であるTEDスプレッドは、徐々に低下しています(図表2)。このように、3月にみられた米短期金利の急騰は、一過性のものとなりつつあります。

こうしたなか、実効FF金利に幾分上昇圧力が残っているのは、やや違和感を覚えます。しかしながら、米短期金融市場における過度な金利上昇の動きが一巡しつつある以上、実効FF金利への上昇圧力も次第に後退すると思われます。そのため、実効FF金利は、時間の経過とともに、誘導目標のレンジ内で安定推移するようになり、FRBによる日々の資金操作や先行きの金融政策に大きな支障は生じないとみています。

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