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市川レポート

REPORT

【No.550】最近のドル円相場の動きについて

2018年08月30日

●7月中旬のドル高・円安は米中対立激化がきっかけで相対的に米国経済が優勢との見方が背景。
●8月のトルコショックはトルコと米国の対立に起因、円の取引動意は乏しく、円高の進行は限定的。
●ドル円は引き続き米ドル主導の相場展開に、年末まで110円中心のレンジ推移との見方を維持。

7月中旬のドル高・円安は米中対立激化がきっかけで相対的に米国経済が優勢との見方が背景

今回のレポートでは、ドル円相場について最近の動きを検証し、年末までの方向性を考えます。ドル円は7月19日、1ドル=113円17銭水準までドル高・円安が進行し、1月8日につけた1ドル=113円39銭水準に迫りました(図表1)。相場がドル高・円安に大きく振れたのは7月11日でしたが、この動きは貿易問題を巡る米中の対立激化をきっかけとするものでした。

市場では従来、「貿易問題を巡る米中の対立激化→株安→ドル安・円高」という解釈が一般的でした。しかしながら、貿易摩擦問題が長引くにつれ、「相対的に米国経済優勢、中国経済劣性」とみる向きが徐々に増え始めました。その結果、「米中対立激化→中国の成長鈍化と資源需要低迷→商品相場軟化→資源国通貨安→相対で(円を含めた幅広い通貨で)ドル高」という流れが市場で形成され、7月中旬のドル高・円安につながったと推測されます。

8月のトルコショックはトルコと米国の対立に起因、円の取引動意は乏しく、円高の進行は限定的

ただ、ドル円は7月20日にドル安・円高方向へ急反転します。背景には、トランプ発言(ドルが日々強くなり、米国の競争力が奪われている)を受けたドル安誘導観測の浮上と、日銀が長期金利誘導目標の柔軟化を検討しているという複数の報道がありました。これらの材料によってドル安・円高が加速し、ドル円は7月26日、一時110円59銭水準をつけました。

注目された7月31日の日銀金融政策決定会合は、現行の金融緩和を継続するための極めて技術的な措置の公表にとどまり、ドル円はいったんドル高・円安の軌道に戻りました。その後、8月にはトルコリラの急落を機に、世界の金融市場でリスクオフ(回避)の動きが強まりました。ただ、リラ急落はトルコと米国の対立に起因するため、円の取引動意は乏しく、ドル安・円高の進行は8月21日の109円78銭水準にとどまりました。

ドル円は引き続き米ドル主導の相場展開に、年末まで110円中心のレンジ推移との見方を維持

なお、トランプ米政権はすでに欧州連合(EU)と自動車を除く工業製品の関税撤廃などに向けた貿易交渉の開始を決めており、メキシコとは北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る2国間協議で合意に達しています。米通商政策の不透明感が少しずつ後退したことで、前述の主要通貨に対するドル高の巻き戻し(すなわちドル安)が8月中旬以降、顕著になり(図表2)、これが足元のドル高・円安の動きをやや鈍化させている可能性があります。

このように、夏場のドル円相場を振り返ると、主役は米ドルであり、円が主体的に取引されたのは、日銀の政策変更の思惑に絡む一時期だけだったことが分かります。日銀の金融政策については当面変更なく、ドル円は引き続き米ドル主導の相場展開を予想します。また、米利上げの終了が視野に入りつつある現状、115円を超えるドル高・円安は期待し難く、一方、日米金利差から100円を割り込むドル安・円高も進行し難いと考えます。したがって、ドル円は年末まで110円を中心とするレンジ推移が続くとの見方を維持します。

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