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市川レポート

REPORT

【No.558】貿易摩擦問題~米国と各国・地域との争点整理(その1)

2018年09月13日

●日米は協定の形態、自動車、農産物で意見が相違、次回協議でどう折り合いをつけるかが焦点。
●米国とカナダは乳製品の供給管理制度と紛争解決制度で意見相違、9月中の妥結有無に注目。
●米国はEUとの交渉中、自動車の追加関税は棚上げへ、EUは関税ゼロを自動車に適用の意向。

日米は協定の形態、自動車、農産物で意見が相違、次回協議でどう折り合いをつけるかが焦点

今回のレポートでは、米国が各国・地域と行っている貿易協議について、争点となっているポイントを整理します。はじめに、日米貿易協議(FFR)から確認していきます。FFRは8月9日、10日に米ワシントンで初会合が開催されましたが、この時は目立った進展がありませんでした。2回目の会合は、9月21日に開催する方向で日米両国が調整を進めています。

主な争点は次の通りです。自由貿易協定(FTA)に関し、米国は日本に交渉入りを求める一方、日本は米国に環太平洋経済連携協定(TPP)復帰を促しています。自動車の輸入関税に関しては、米国が引き上げをちらつかせる一方、日本は自動車の現地生産で米雇用に貢献しているとし、引き上げ回避を主張しています。また、農産物に関しては、米国は更なる市場開放を迫る見通しの一方、日本はTPPで合意した水準が限度としています(図表1)。次回のFFRでは、両国がどのような折り合いをつけるかが焦点です。

米国とカナダは乳製品の供給管理制度と紛争解決制度で意見相違、9月中の妥結有無に注目

次に、米国とカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る協議に目を向けます。主な争点は次の通りです。乳製品に関し、米国はカナダに価格を下支えする供給管理制度を撤廃するよう求めています。カナダは制度を守る姿勢を維持していますが、最近、一部製品の市場開放を含む譲歩案を米国に示しました。また、貿易紛争の解決制度に関しては、米国が2国間パネルの廃止を求める一方、カナダは機能縮小に反対しています(図表1)。

米国はNAFTA再交渉を巡り、すでにメキシコとの2国間では大筋合意に達しているため、9月中にカナダを含めた3カ国で貿易協定の締結を目指すとみられます。カナダのフリーランド外相は、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と9月13日に通商交渉を行う予定です。乳製品の供給管理制度と紛争解決制度について、両国の歩み寄りがみられるかが注目されます。

米国はEUとの交渉中、自動車の追加関税は棚上げへ、EUは関税ゼロを自動車に適用の意向

米国と欧州連合(EU)は7月25日、自動車を除く工業製品の関税撤廃に向けた交渉開始などで合意しました(図表2)。閣僚級の交渉は、9月10日から始まりましたが、両国に思惑の違いがみられます。自動車の輸入関税引き上げに関し、米国はEUへの追加関税を交渉中は棚上げとする一方、EUは「関税ゼロ・非関税障壁ゼロ・補助金ゼロ」とする同協議の合意を、自動車に適用する意向を示しています。

また、EUは、米国による自動車の輸入関税引き上げ回避を狙い、米国産牛肉の輸入拡大も協議する準備を行うなど、交渉における積極的な攻めの姿勢がうかがえます。このように、米国と各国・地域との貿易協議を巡る争点を整理しておくと、今後、通商協議の流れが理解し易くなると思われます。次回のレポートでは、更に米国と中国の争点を整理し、総括として、それぞれの想定し得る着地点を考えます。

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