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「チェンマイ・イニシアチブ」とは?(アジア) 【キーワード】

2017年2月20日

<今日のキーワード>
「チェンマイ・イニシアチブ」とは、1997年のアジア通貨危機の教訓を踏まえ、2000年にタイのチェンマイで開いた会合で創設を決めた、安全網としての通貨協定のことです。外貨準備として抱えるドル資金を活用し、東アジア地域で連携して通貨暴落などによる経済危機を防ぐ仕組みです。「チェンマイ・イニシアチブ」には、国際通貨基金( IMF )に依存せず、域内で自律的に危機対応できる体制を整えるという狙いがあります。

【ポイント1】2000年にASEAN5カ国と日中韓で合意

当初は2国間の通貨交換協定が柱

■2000年の「チェンマイ・イニシアチブ」の合意に基づき、2003年までに、日中韓3カ国及び東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)の間で、2国間の通貨スワップの取り決めが多数締結され、アジア域内を広くカバーする通貨スワップ取引ネットワークが構築されました。

■当初の合意では、通貨暴落などで急激な資金流出が起きた国に対して、外貨を融通する2国間の通貨交換協定が柱でした。

【ポイント2】2010年にマルチ化

新たにASEAN5カ国が参加

■2010年には、より発展した枠組みとして、「チェンマイ・イニシアチブ」のマルチ化(多国間通貨協定)が発効されました。メンバー国が保有する外貨準備を危機時に多国間で迅速に融通し合うことが可能になりました。また、新たにASEAN5カ国(ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)が加わり、全13カ国が参加するネットワークとなりました。

■さらに、2014年の改訂を受けて、引出可能総額が1,200億ドルから2,400億ドルに引き上げられました。また、引出可能額に対して、IMFの金融支援プログラムなしで発動可能な割合が従来の20%から30%に引き上げられました。

【今後の展開】ASEAN通貨の安定化がより高まる可能性

■現状の「チェンマイ・イニシアチブ」では、ドルの融通枠は全体で2,400億ドルですが、このうち各国の合意だけで貸し出せるのは30%で、残り70%はIMFの金融支援後に融通する仕組みとなっています。

■アジア各国は5月、横浜市でアジア開発銀行(ADB)総会と日中韓・ASEAN財務相会議を開きます。こうした場を通して、「チェンマイ・イニシアチブ」の枠組みが拡充(各国の合意のみの融通枠引き上げ)される可能性があり、実現すれば、ASEANの通貨がより安定しやすくなると考えられます。

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