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一帯一路(中国)【キーワード】

2014年11月28日

<今日のキーワード>
「一帯一路」は現代版シルクロードの構築を目指した中国の経済・外交政策構想のことで、2013年に習近平国家主席が提唱しました。中国から中央アジアを経由して欧州につながる「シルクロード経済帯」(一帯)と、東南アジア、インド、アフリカ、中東を経て欧州に至る「21世紀海上シルクロード」(一路)の2つのルート構築を目指しています。

【ポイント1】内需不足を補い、関連諸国との経済圏確立を目指す

現代版シルクロードの構築で、世界に存在感をアピール
■「一帯一路」構想は今年11月に中国で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で習主席が各国に積極的にアピールしました。 「一帯一路」構想の目的は主に4つとみられます。

■一番目は、国内の過剰生産能力の解消と内需不足を補うため、関連諸国との連携によるインフラ投資の拡大です。二番目は、中国から関連新興国への経済援助を通じて、中国を中心とした経済圏の確立です。三番目は、そうして絆を深めた新興国に鉄道、発電所、通信などの資本財を輸出し、そうした国からの安定的な資源輸入を図ることです。四番目は、2つの現代版シルクロードを通じた貿易の活発化を提唱することにより、世界経済の牽引役として、中国の存在感をアピールすることです。

【ポイント2】アジアインフラ銀行(AIIB)設立へ

中国マネーによるインフラ整備
■10月24日に、中国が主導するアジアインフラ銀行(AIIB)の設立準備の覚書に周辺新興国など21カ国が署名しました。登録資本金1,000億米ドルの半分である500億米ドルを中国が出資する予定で、加盟国の「一帯一路」構想関連プロジェクトへの投資が見込まれています。

■その他、「海上シルクロード」銀行の設立も準備され、中国が主導するインフラ投資の枠組み整備が急ピッチで進められています。

【今後の展開】「一帯一路」構想の推進で、インフラ関連需要を高め、高成長維持へ

■インフラ投資拡大は成長の源泉
11月の世界主要20カ国(G20)首脳会議では、2018年までに世界のGDP成長率を2.1%引き上げることを目指し、インフラ投資の加速を図ることを確認しました。国際通貨基金(IMF)も経済の潜在力の引き上げのためにインフラ投資の拡大が必要であるとこの10月に指摘しました。

■経済協力をテコに高成長維持を模索へ
12月に開催が予定される経済工作会議では、内需不足をカバーするための方策の一つとして、「一帯一路」構想の推進が改めて検討されるとみられます。潤沢な外貨準備などのマネーを活用して、インフラ投資の加速が高成長を維持するための鍵を握ると考えられます。

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