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拡大する家計の「正味資産」(米国)【キーワード】

2016年12月13日

<今日のキーワード>
米国の家計が保有する資産、負債の状況は、米連邦準備制度理事会(FRB)が四半期ごとに公表する財務勘定統計で捉えることができます。財務勘定とは、金融機関、法人、家計といった各部門の金融資産・負債の推移などを、預金や貸出といった金融商品ごとに記録したものです。日本では、日銀が資金循環勘定統計として公表しています。米国では、12月8日に16年7-9月期の統計が公表されました。

【ポイント1】過去最高を更新する家計の「正味資産」

住宅価格や株価の上昇が資産を押し上げ

■総資産から総負債を差し引いた家計の「正味資産」は、16年7-9月期末に90兆1,961億ドル(約9,141兆円)となりました。15年10-12月期以来4四半期連続の過去最高更新です。総資産が105兆1,061億ドル、前期比+1.7%となる一方、総負債は14兆9,099億ドル、同+1.0%の伸びにとどまったためです。「正味資産」を可処分所得(個人所得から、支払い義務のある税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入)に対する比率で見ると、前期の6.34倍から6.39倍に小幅上昇しました。

【ポイント2】発現しない資産効果

高い水準を維持する貯蓄率

■「正味資産」の対可処分所得比率と貯蓄率の間には、負の相関関係が認められます。株価や住宅価格が値上がりし、家計の「正味資産」が増えると、消費が拡大し、貯蓄率は低下するという関係です。資産効果といわれるものです。

■ところが、住宅バブルが崩壊した2007年以降、この関係が成り立たなくなっています。直近16年7-9月期について見ると、家計「正味資産」の対可処分所得比は先ほど述べた通り6.39倍と小幅な上昇だったのに対して、貯蓄率は5.9%と前期比横這いでした。資産効果は、ほとんど表れていないといえます。

【今後の展開】家計の購買余力は大きい

■緩やかながらも息の長い拡大が見込まれる個人消費

家計の負債がさほど増えていないこと、換金するのが容易な流動資産が厚めになっていることなどを考え合わせると、家計の消費行動は慎重といえます。裏返せば、家計の購買余力は依然として大きいということです。個人消費は、緩やかながらも息の長い拡大になると予想されます。

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