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米『ベージュブック』、労働需給が一段と逼迫【キーワード】

2018年7月25日

<今日のキーワード>
『ベージュブック』は、米国に12ある地区連邦準備銀行が、管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことで、表紙のベージュ色が名前の由来です。『ベージュブック』は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。今回は景気拡大が長期化するなか、労働需給が逼迫してきましたが、インフレ加速には至っていないことが示されました。

【ポイント1】米国経済は拡大を持続

大半の地区が「穏やか」ないし「緩やか」な成長と評価

■7月18日に公表された最新の『ベージュブック』は、「米国の経済活動は引き続き拡大」と総括しました。地域別では、全米12の地区連銀のうち10地区が「穏やか」ないし「緩やか」なペースで拡大、1地区が力強く成長、残り1地区は僅かな成長でした。

【ポイント2】労働需給は引き続き逼迫、広範な業種で人材確保が困難

投入コストは上昇だが、最終財への価格転嫁の動きは依然として軽微

■内容を詳細に見ると、製造業は、全ての地区で、トランプ政権の関税に対する懸念を表明したほか、多くの地区から、新しい貿易政策の影響による価格の上昇や、供給網の混乱が報告されました。

■個人消費は、全ての地区で増加しましたが、同時に投入コストの増大による小売業者の利鞘縮小が報告されました。とりわけドライバーの確保難によるトラックの輸送能力不足が深刻と指摘しています。

■労働市場については、ほとんどの地区で需給が逼迫し、広範な職種で人材の確保が困難になっているとの報告が見られたほか、求人難が成長の妨げになっていると指摘する業種も幾つかありました。賃金上昇率は「穏やか」
ないし「緩やか」でした。

■物価は、すべての地区で上昇しました。特に、燃料や建材、金属といった重要な投入財のコスト上昇圧力の強まりを指摘する報告も見受けられました。木材や金属に関しては、トランプ「関税」の影響が大きいもようです。もっとも、コスト上昇分の最終財への価格転嫁の動きは依然として、軽微であるようです。

【今後の展開】緩やかな利上げ継続の見通し

■今回の『ベージュブック』は、景気拡大が続くなか、賃金や物価の上昇圧力が強まってきたことを示唆する内容でした。米連邦準備制度理事会(FRB)に、利上げの継続を促すものといえるでしょう。

■今後は、政策金利の着地点が争点になると見られますが、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる政策金利予測等から判断すると、+3.0%前後がひとつの目安になりそうです。

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