【マンスリー No.9】先月のマーケットの振り返り(2009年5月)
平成21年6月1日
1.概観
・米金融当局が主要金融機関に行った資産査定の結果は、金融市場の不安感を緩和させました。
・米国から海外へ投資を行う意欲が回復したことや、米財政に対する懸念からドル売りが進みました。
・総じて債券価格は、欧米の株価回復や各国での国債増発から、下落(利回りは上昇)しました。
・企業の在庫調整の進展が明確となり、先進国では1-3月期が景気の最悪期との見方が広がりました。
・一方、消費・設備投資が回復するには時間を要し、景気回復ペースは緩やかになると思われます。
・景気回復への期待や、リスクを取った投資の再開により、原油をはじめとした資源価格も上昇しました。
・新型インフルエンザは世界的に拡大しましたが、現時点で社会システムの混乱には至っていません。
5月の市場動向
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
2.市場全体の振り返り
5月には、米金融当局が主要金融機関を対象に行った資産査定(ストレステスト)の結果を受けて、金融不安の再燃に対する懸念は大きく後退しました。一方、景気回復の足取りが重いことや主要先進国の財政状況の悪化などは株価の重石となりました。また、米国から海外へ投資を行う意欲が回復したことにより、ドルの需要が低下したほか、米財政収支の悪化などから、ドルは幅広い通貨に対して売られる展開となりました。
月初には、米金融当局が主要19行の金融機関を対象に行った資産査定の結果が好感されたほか、米国の雇用情勢が、市場の予想ほど悪化していなかったことから、株価は上昇しました。また、投資意欲が回復してきたことで、比較的リスクが高い新興国に対する投資が再開し、株価の大幅な上昇に繋がりました。中国の大型景気対策の進ちょくや周辺国への波及効果が意識されたほか、資源価格の持ち直しも新興国の株価にとって追い風でした。
月央には、月初の株価上昇を受けて利益を確定しようとする動きが目立ったほか、米国の4月小売売上高が予想以上に低調であったことから、景気回復に対する期待感が後退し、株価は世界的に軟調に推移しました。また、海外の株価下落に伴って、先行きの不透明感を嫌気した国内投資家による円の買い戻し(ドル売り)が進みました。
月末には、米国の格付け会社S&Pが、英国債の保有するAAA格付け(トリプルエー、最上位)の見通しを「安定的」から「ネガティブ」へと引き下げた(将来的な格下げの可能性を意味する)ことで、同様に米国債も格下げ対象となるのでは、との思惑が膨らみ、米株・米国債・米ドルがともに下落するトリプル安となる局面も見られました。その後も国債の増発を受けて、債券価格は下落(利回りは上昇)傾向となりました。
また5月には、メキシコで発生した新型インフルエンザが米国や欧州、日本にも拡大しましたが、社会システムの混乱は避けられているとの見方から、引き続き懸念材料ではあるものの、市場への影響は限定的となりました。
3.5月の各市場の推移
■株式
(注)2009年4月末=100として指数化
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
■債券
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
■為替
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
4.マクロ・マーケットの主なニュース
(出所)各種報道・発表を基に三井住友アセットマネジメント作成
5.注目の経済指標
5月には、各先進国・地域の1-3月期GDPが出揃いましたが、それぞれ今後は悪化ペースが縮小していくとの見方に繋がりました。これは主に在庫調整の進展に伴うものです。
一方で、最終的な消費が伸びなければ、景気回復は緩やかなものに留まると見られています。特に、米国の4月小売売上高が前月に引き続いて減少し、市場予想を下回ったことで、今後の景気回復は緩やかなものになるとの慎重な見方が増えました。
日本の1-3月期GDPは、成長率が大幅なマイナスとなった一方、在庫調整には進展が見られるとして、4-6月期には成長率がプラスに転じるとの見方が広がりました。ただし、国内外の消費や設備投資は依然として弱いままであり、在庫循環に伴って成長率が回復した後、景気がどの程度の強さを持っているかが注目されます。
(出所)米国商務省
グラフはBloombergのデータを基に 三井住友アセットマネジメント作成
(出所)内閣府
グラフはBloombergのデータを基に 三井住友アセットマネジメント作成
6.注目の市場指数
5月は米金融当局が月初に発表した資産査定(ストレステスト)の結果を受け、株価が回復しやすい展開となった一方、安全資産としての国債の需要が低下し、債券価格は下落(利回りは上昇)しました。また、各国政府が打ち出している景気対策は大型の財政出動を伴うことから、大量に国債が増発されれば値崩れを引き起こしやすくなるとの見方も、債券価格には悪材料となりました。特に米国債の価格は急低下(利回りは急上昇)しましたが、最終週に控えていた過去最大規模の国債入札を順調に消化したことから、月末には米国債に対する懸念はやや後退しました。
また、5月はドル安傾向が明確となり、ドルは円やユーロをはじめとした幅広い通貨に対して、売られる展開となりました。株価の上昇時には、米国の投資家がドルを他通貨に転換して他国の金融資産を購入する動きが見られたほか、米国の財政状況を懸念した他国の投資家がドルを売る動きもこれに加わりました。
月末の終値付近である95円台は、国内の多くの輸出企業が今年度の想定為替レートを設定した水準でもあり、為替の動向は今後も注目されそうです。
(注)期間は1月1日~5月31日
(出所)グラフはBloombergのデータを基に 三井住友アセットマネジメント作成
(注)期間は1月1日~5月31日
(出所)グラフはBloombergのデータを基に 三井住友アセットマネジメント作成
7.年初来の各市場の推移
■株式
(注)2008年12月末=100として指数化
(出所)グラフはBloombergのデータを基に 三井住友アセットマネジメント作成
■債券
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
■為替
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
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