【デイリー No.294】米国・日本・欧州のGDP成長率(1-3月期) ~多くの国で最悪期となった可能性~
平成21年5月22日
<ポイント>
●日米欧各国の1-3月期実質GDP成長率は、総じて大幅に減少しました。
●先行きはなお不透明ですが、各国の実質GDPの減少率は今後縮小すると思われます。
●雇用悪化は続いており、消費の低迷から各国とも景気の回復ペースは緩やかとなりそうです。
1.米国は年後半の回復、日本は一旦増加に転換も
(出所)米国商務省、内閣府
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成
米国
米国の1-3月期実質GDP成長率は前期比年率▲6.1%と、08年10-12月期とほぼ同程度の大幅減少となりました。成長率を最も押し下げたのは民間設備投資で、前期比年率では▲37.9%となり、GDP全体を4.7%押し下げました。このほか、民間企業の在庫投資、民間住宅投資、輸出の減少による成長率の押し下げが目立ちました。
一方、米GDPの約7割を占める個人消費は同2.2%増と、3四半期ぶりに増加しました。これは08年10-12月期にかけ、消費活動が大きく低迷したことへの反動などが要因と思われます。景気は09年後半以降、回復に向かうと予想されますが、消費活動については、雇用情勢の悪化に伴う賃金低下や過剰な水準にある債務の返済などの影響もあり、回復は緩やかなものに留まると思われます。
日本
日本の1-3月期実質GDP成長率は前期比年率▲15.2%と、戦後最大の減少率となりました。世界的な需要低下と国内製造業の停滞を反映し、輸出額(前期比年率▲70.1%)や民間設備投資(同▲35.5%)が10-12月期以上に悪化したことから、成長率は低下を続けました。
一方、在庫調整の進展が見られることなどから、4-6月期には3月までの大幅減少の反動増が期待されます。また、低調な個人消費にも定額給付金や高速料金の値下げなどの効果が相応に表れると思われ、4-6月期には実質GDP成長率が一旦増加に転じることも予想されます。
しかし、今回の発表で08年10-12月期の成長率も下方修正されたことや、設備投資・個人消費の低調さなどを踏まえると、景気が低調なことには変わりなく、安定した回復基調となるのは09年末頃となりそうです。
2.ユーロ圏の回復は緩やか、英国も最悪期を脱出
(出所)EU統計局、英国政府統計局
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成
ユーロ圏
ユーロ圏の1-3月期実質GDP成長率は、前期比年率▲9.8%(前期比公表値からの推計値)となりました。これは従来の予想を大きく下回り、99年の通貨統合以来、最大の減少率となります。一方、1-3月期には在庫調整が進んだ可能性があり、今後は減少率の縮小が見込まれます。
1-3月期に成長率の低下が目立った国はドイツで、前期比年率では▲15%前後となりました。これは製造業の比率が高いため、外需が低迷した影響を大きく受けたものと思われます。これに対して、フランスでは在庫調整に進展が見られ、前期比年率では▲5%前後と減少率は相対的に小さくなっています。
ユーロ圏における実質GDPの減少率は徐々に縮小していくと思われますが、在庫調整が米国などと比較すると遅れていることや、財政支出や金融緩和政策の規模が相対的に小さいことなどから、景気回復はより緩やかなものとなる可能性があります。
英国
英国の1-3月期実質GDP成長率は前期比年率▲7.4%(前期比公表値からの推計値)と、大幅な減少が継続しました。
この背景には、GDP全体の15%程度を占める製造業が大きく落ち込んだことに加え、全体の70%以上を占めるサービス業についても減少率が拡大したことが挙げられます。
一方、英国産業連盟(CBI)が四半期ごとに発表する鉱工業の動向調査を見ると、4月の景況感および産出数量の見通しは、依然マイナス圏ながら改善しました。製造業における在庫も、高水準が続いていますが、やや縮小しています。こうした指標の改善から、英国景気は最悪期を脱しつつあるものと思われます。
3.今後の市場見通し
米国をはじめとした主要国では、景気が最悪期を脱しつつある兆候が見られはじめ、今後は各国において実質GDPの減少率が縮小していくと見込まれます。しかし、在庫調整の進展状況などは各国で若干のばらつきが見られます。雇用情勢についても総じて悪化が続いており、失業率上昇や賃金低下を通じて、個人消費を抑制すると予想され、各国とも景気の回復ペースは緩やかなものとなりそうです。
世界的に株式市場は、金融システム不安の後退や一部の経済指標に見られる下げ止まりの兆候、景気対策への期待などを材料に反発しています。しかし、景気の早期回復は難しいことから株価の上値は抑えられ、一進一退の推移が予想されます。債券市場は、景気後退局面であることに加え、各国の低金利政策が長期化するとの見方などから、債券価格は底堅く推移しそうです。為替市場は、株価上昇に伴う海外への投資意欲回復は円安要因ですが、景気・金融市場への慎重な見方も残り、概ね一進一退となりそうです。
- 日本
- 中国
- アジア・オセアニア
- アメリカ
- ヨーロッパ・アフリカ
- マーケットレポート







