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【デイリー No.313】米国・日本・欧州の物価動向(5月) ~強い下押し圧力が存在~

平成21年6月22日

 平素は弊社をお引き立て賜り、厚く御礼申し上げます。米国・日本・ユーロ圏・英国が6月17日までに発表した消費者物価指数の結果に基づき、弊社の見方をご報告申し上げます。

<ポイント>
●エネルギー価格の下落により、前年比での物価の変化率は数十年ぶりの低水準にあります。
●各国において需要と供給のギャップが拡大しており、2010年にかけて物価は低下を続けそうです。
●各国の中央銀行は金融緩和を当面継続し、政策金利の水準見直しは2010年以降となりそうです。

1.米国は過去最大の下落率、日本はデフレも想定


(出所)米国労働省、総務省
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成

米国

 5月の消費者物価指数は前年同月比▲1.3%と、4月の同▲0.7%から一段と下落しました。これは1950年以来、最大の下落率です。この要因には、原油などのエネルギー価格が1年前の5月と比べ、大幅に下落したことが挙げられます。一方、食品とエネルギーを除いた5月のコア消費者物価指数は前年同月比1.8%上昇と、4月の同1.9%上昇から、緩やかに低下しています。
 コア消費者物価指数は、現在消費や設備投資などの需要が、供給能力を大きく下回っていることから、今後は一段と下押し圧力を受けそうです。現在、上昇ペースの鈍化が緩やかなことには、4月1日以降の連邦タバコ税引き上げなどの特殊要因による押し上げも影響しており、影響の一巡後には鈍化傾向がより表れる可能性があります。

日本

 4月のコア消費者物価指数(全国・生鮮食品を除く)は前年同月比▲0.1%と、マイナス圏での推移が2カ月続きました。前年の同月と比較してエネルギー価格が大きく下落していることに加え、小売店のプライベートブランド(PB)商品の拡充や値引き商戦による食料品価格の低下などから、コア消費者物価指数は7-9月期にかけて下落率を拡大させ、一時的に同▲1%台後半となることが予想されます。6月26日に発表予定である5月分では、マイナス幅の急拡大が見込まれています。
 また、食品とエネルギーを除いた米国型のコア消費者物価指数についても、下落率を拡大させていくと思われます。雇用情勢が悪化するなか、今後はデフレーション(物価が継続して下落すること)に向かうことが想定されます。特に日本では、賃金の低下が続くことで、物価が下落する期間が長引く可能性もあります。

2.ユーロ圏は最低水準更新、英国はポンド安影響


(出所)EU統計局、英国政府統計局
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成

ユーロ圏

 ユーロ圏の5月の消費者物価上昇率は、前年同月比0.0%と4月の同0.6%上昇から大きく低下し、1991年の統計開始以来の最低水準となりました。
 全体の消費者物価上昇率の低下は、エネルギー価格の下落が大きく影響したと見られます。エネルギー価格に大きな影響を与える原油価格(北海ブレント原油)はユーロ建てで5月に前年同月比▲48%と、下落幅の拡大が続いています。これに加えて雇用情勢の悪化や食品価格の鈍化が物価を下押ししており、今後は一時的にマイナス圏で推移することが予想されます。
 また、エネルギー・食品・酒・タバコを除いたコア消費者物価上昇率についても同1.5%上昇と、緩やかに上昇ペースが鈍化しています。今後は雇用情勢の悪化などを受け、2010年にかけて鈍化傾向が強まるものと思われます。

英国

 英国の5月の消費者物価指数は前年同月比2.2%上昇と、上昇ペースは緩やかに鈍化しました。エネルギー・食品・酒・タバコを除いたコア消費者物価指数は同1.6%上昇となっています。
 通貨ポンドの下落により、輸入品の価格が押し上げられていることから、他の先進国と比較した際に物価の上昇ペースは高めで推移しています。09年秋頃まではエネルギー価格の下落や景気悪化などの影響から、上昇ペースの鈍化が継続すると思われます。一方で金融緩和や付加価値税率の引き下げ(08年12月以降)効果のはく落から、09年末以降の鈍化傾向は一服するものと思われます。

3.今後の市場見通し

 09年後半から年末にかけては、エネルギー価格の乱高下が物価にもたらす影響が一巡する見込みであり、その後は賃金動向が物価に及ぼす影響が注目されそうです。米国や日本をはじめとした主要国では、景気が最悪期を脱しつつある兆候が見られはじめています。一方で、景気の持ち直しは在庫調整の進展によるところが大きく、需要の水準は回復していないことから、現状では供給能力が大幅に過剰となっています。こうした場合、企業は新規の雇用・設備投資の削減や手控えを通じて過剰な供給能力を解消する方向に動きやすく、今後はこうした要因が物価を押し下げると思われます。
 世界的に株式市場は、金融システム不安が再燃する可能性が大きく低下したことに加え、今後は企業業績改善が予想されることから、株価はある程度の上昇も見込まれそうですが、上昇ペースは緩やかになりそうです。債券市場は、金融緩和が長引くと思われ、債券価格は底堅く推移しそうです。投資意欲の回復は低金利である円を売る要因となりますが、リスク回避の円買いも根強く、為替市場は一進一退となりそうです。

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