【デイリー No.450】最近の指標から見る中国経済(2009年12月)
平成22年1月27日
平素は弊社をお引き立て賜り、厚く御礼申し上げます。中国国家統計局が21日までに発表した2009年および12月の各種経済指標の結果などに基づき、弊社の見方をご報告申し上げます。
<ポイント>
●2009年の実質GDP成長率は前年比8.7%増、10-12月期は前年同期比10.7%増となりました。
●2009年の比較的高い成長率をけん引してきた固定資産投資の伸びは、緩やかに低下しました。
●消費者物価指数が2カ月連続で上昇しており、物価・銀行融資の抑制が課題となっています。
⇒中国は2010年前半も比較的高い成長を続け、2010年後半には緩やかながら減速しそうです。
1.8%成長の目標達成、生産は堅調、輸出も回復
(出所)中国国家統計局
中国税関
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成
①実質GDP成長率
国家統計局が21日に発表した2009年通年の実質GDP成長率は前年比8.7%増、10-12月期は前年同期比10.7%増、(ブルームバーグによる市場予想の中央値は通年で前年比8.5%増、10-12月期は前年同期比10.5%増)となり、政府目標の前年比8%成長を達成しました。
2009年通年で比較的高い成長ペースを維持した背景には、年初から中央・地方政府がともに集中的なインフラ投資を行ったことや、年半ばにかけ耐久消費財の購入支援策や住宅価格・株価の回復を受けて個人消費が堅調さを取り戻したことなどが影響しています。また、年後半にかけて不動産開発のペースが加速したほか、外需も緩やかに持ち直し、生産が一段と活発化しました。
②鉱工業生産指数
国家統計局が21日に発表した2009年通年の鉱工業生産指数は前年比11.0%増と、年後半から生産動向が持ち直しを続けたため、二桁の大幅増となりました。12月単月では前年同月比18.5%増と、11月の同19.2%増に続き、堅調な推移を続けました。製造業の景況感指数を見た場合も、受注・生産は一段と拡大している模様です。
12月は重工業が前年同月比21.4%増となるなど、自動車の生産が大幅に伸びていることなどを背景に堅調に推移し、全体を押し上げました。自動車については12月に、2009年末が期限だった車両購入税の減額措置、農村での自動車購入の補助金といった購入支援策を2010年末まで延長(額などは一部縮小)することなどが決定されました。これを受け2010年の自動車販売台数も前年比二桁以上の伸びが予想されています。
③輸出入額
中国税関が10日に発表した2009年通年の輸出額は1兆2,016億ドル(約111兆円)と、前年比▲16.0%ながら、2008年まで世界一だったドイツの輸出額(1月8日発表の11月までの累計)を大きく上回っており、初の世界一になる見込みです。
また、12月単月での輸出額は前年同月比17.7%増と、2008年10月以来14カ月ぶりの増加に転じました。実額でも1,307億ドルと、2008年9月以来の水準(過去第4位)に回復しています。
このほか、12月には輸入額が前年同月比55.9%増と、11月の同26.7%増から伸びが一段と加速(比較対象の2008年12月が急減していたことなども影響)しました。輸入は実額でも1,123億ドルと過去最高額を記録しており、国内の消費拡大や先進国向けの増産(中国は部品を輸入し、完成品を輸出する加工貿易が盛ん)などが反映されました。なお、輸入額の拡大により、12月の貿易黒字額(輸出額-輸入額)は184億ドルと、11月の191億ドルから減少しました。
2.投資は緩やかに減速、物価の上昇が開始
(出所)中国国家統計局
中国国家発展改革委員会
人民銀行
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成
①固定資産投資・不動産販売価格
国家統計局が21日に発表した2009年1-12月累計の固定資産投資(都市部)は前年同期比30.5%増と、堅調な推移が続いているものの、1-11月の累計額が同32.1%増となっていたことと比較すると、緩やかに増加ペースは減速しています。
これは、景気対策の開始直後に急拡大した中央政府による集中的なインフラ投資の一服などが要因と見られます。一方、地方政府のインフラ投資の増加ペースは鈍化したものの、なお高い伸びを維持しています。また、民間企業の設備投資が、自動車産業などで活発なほか、外需向けの繊維・電子機器産業など、幅広い業種で増加傾向となっていることは好材料です。こうした背景から、全体で見た場合の固定資産投資の増加ペースは緩やかな鈍化が続くものの、堅調な推移を続けそうです。
また、1-12月累計での不動産開発投資は前年同期比16.1%増と、増加ペースが2カ月連続で低下しました。政府からは不動産開発業者に対し、土地取得に関する頭金比率引き上げや、銀行融資の厳格化など、住宅市場を抑制する方針が示されています。ただし、一般住宅向けの供給拡大策も打ち出されていることや、景気回復局面のなかで住宅需要が強いことなどから、不動産開発投資は底堅く継続すると思われます。こうしたなか、中国国家発展改革委員会が14日に発表した12月の不動産販売価格指数を見ると、前年同月比7.8%上昇と7カ月連続で上昇し、上昇ペースも加速していることがわかります。
②消費者物価指数
国家統計局が21日に発表した12月の消費者物価指数は前年同月比1.9%上昇と、2カ月連続で上昇しました。2009年前半に銀行融資が急増した影響から、物価は今後も上昇が予想されています。
12月の消費者物価指数は、11月の前年同月比0.6%上昇から、上昇ペースが一段と加速しました。これは指数を算出する際に、3割程度を占める食品価格が同5.3%上昇と、大幅に上昇したことが要因です。また、中国北部で観測されている寒波が、今後、野菜などの食品価格を押し上げることが予想され、その影響も懸念されます。
③金融政策
中国の金融当局は物価上昇圧力を抑えるために、2010年の新規銀行融資額を適度にコントロールすることを重視しています。
2010年通年での新規銀行融資額の目標は7.5兆元と見られますが、これが1月第2週までに1兆元近くに達したとの報道もされており、1月の金融市場では当局の引き締めに対する警戒が高まりました。
中央銀行である人民銀行は12日、預金準備率(銀行が自ら有する預金のうち中央銀行に預けるべき準備金の比率、引き上げられると銀行が貸出可能な資金量が減少)を1年7カ月ぶりに0.5%引き上げることを決定(18日から実施)しました。また、人民銀行は市中からの資金吸収に用いる中央銀行手形の発行金利を引き上げるなど、多様な手段を組み合わせて物価上昇圧力を緩和させる姿勢を明確にしています。
3.今後の市場見通し
(期間)2008年1月1日~2010年1月26日
グラフはBloombergのデータを基に
三井住友アセットマネジメント作成
2010年の政策として、消費の促進・過剰生産能力の是正・住宅市場や物価上昇の抑制などが想定されます。今後は外需が2010年前半までは回復を続けると思われることや、内需も高い伸びが続くと見込まれることから、成長ペースは当面堅調に推移し、景気対策の効果が薄れる2010年後半にはペースの緩やかな減速も予想されます。また、2010年の成長率としては2009年に近いものが見込まれます。
中国本土・香港の株式市場では、2009年年初の株価上昇ペースが急であったことや先行きの金融政策が引き締められるとの懸念などから2009年半ばに一服感も見られましたが、比較的高い成長力を持つ中国経済や企業業績などを評価する動きが再開しています。金融政策に関する決定が短期的な上値の抑制・調整材料となる可能性もありますが、中期的には中国・世界経済の回復期待、企業業績の上方修正期待などから、株価は底堅いと思われます。
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