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選別色が強まるアジア株式市場
米中貿易摩擦の影響度により市場を選別【デイリー】

2018年6月22日

【ポイント1】米中貿易摩擦懸念が再燃

昨年末から2桁下落の中国本土株

■足元のアジア株式市場は、軟調な展開となっています。昨年末から6月21日までの株価変化率を見ると、米中の貿易摩擦への懸念などから、中国本土株が2桁の下落となりました。中国経済や企業との関係が強い各国・地域の株式市場にもマイナスの影響を与えました。また、通貨安を防衛する目的で利上げを実施したフィリピンや、インドネシアなども軟調となりました。

【ポイント2】インド、台湾、MSCI中国は堅調

相対的にしっかりとした動き

■一方、インドや台湾、MSCI中国は底堅く推移しています。米中貿易摩擦の再燃から軟調となりましたが、総じて高値圏を維持しており、アジア市場の中では相対的にしっかりとした動きとなっています。

【今後の展開】米中貿易摩擦の影響度により市場を選別

■6月15日以降、米中貿易摩擦が一段と激化しています。最終的には、米中両国で落としどころを探り、妥当点を見出すことで深刻な貿易戦争は避けられると思われます。ただ、米国による対中牽制の動きは少なくとも米中間選挙までは続く可能性があります。

■こうした中でも、相対的に堅調さを維持しているのがインド、台湾、MSCI中国です。いずれも1株当たり予想利益が堅調に推移しています。中国深セン市場は業績が好調ですが、製造業の時価総額ウエイトが相対的に高く、米中貿易摩擦の影響を受けて下落しています。

■インドは、アジアの中でも輸出依存度が低いのが特徴です。中国との貿易比率も相対的に低く、中国が米国から経済制裁を受けても、インドの経済や企業活動への影響は限定的と言えそうです。

■台湾は、IT製品を中心とした輸出の伸びが好調です。高性能コンピュータ、AI、自動車などの用途拡大が背景です。当面は最終製品の需要が強く、その恩恵を受けている状況です。しかし、台湾企業は中国製品のサプライチェーンの中に大きく組み込まれており、今後は米中貿易摩擦の影響に注意する必要がありそうです。

■MSCI中国は製造業の時価総額ウエイトが低く、また、情報技術セクターのウエイトは約40%(6月21日)ですが、内訳を見るとソフトウエア・サービスが中心です。中国国内市場で活躍する企業が多く、貿易摩擦の影響を直接受けることはほとんどありません。

■アジアの株式投資は、当面、米中貿易摩擦の影響度により市場を選別する流れが続きそうです。

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