ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見るブラジル経済(2015年6月)  利上げによる物価の落ち着きに期待【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見るブラジル経済(2015年6月)  利上げによる物価の落ち着きに期待【デイリー】

2015年6月17日

【ポイント1】内外需ともに低迷

物価高や中国の景気減速などが影響
■4月の小売売上高は前年同月比▲3.5%と、前月の同+0.3%からマイナスに転じました。物価高などにより実質賃金の伸びが今年に入りマイナスになっていることが要因の一つと思われます。

■4月の鉱工業生産指数は前年同月比▲7.6%で14カ月連続のマイナス、5月の輸出は同▲19.2%で10カ月連続のマイナスと、いずれも低迷が続いています。物価高や利上げによる内需の落ち込みに加え、中国など海外景気が減速していることもあり、景気は低迷が当面続きそうです。

【ポイント2】中銀は利上げを継続

物価高の長期化を警戒
■5月の消費者物価指数は前年同月比+8.47%と、2014年12月の同+6.41%を直近の底に5カ月連続で上昇しました。電気料金の引き上げや干ばつによる食品の値上がりなどが要因となり、物価上昇率はブラジル中央銀行(以下、中銀)の目標(年+2.5%~+6.5%)の上限を上回っています。

■中銀は、昨年10月から6月まで、6会合連続で政策金利を引き上げ、13.75%としています。中銀は公共料金引き上げの影響が広がり物価高が長期化することを警戒しており、市場では次回会合(7月28日~29日)でも利上げを行うと見込まれています。

【今後の展開】政府は中銀の利上げに理解を示しながら、インフラ整備で景気にも配慮

■政府は5月22日、景気下振れによる税収減少に対応し、支出削減を盛り込んだ修正予算案を発表しました。一方、6月9日には総額約1,984億レアル(名目GDPの3%強)にのぼるインフラ整備計画を発表しました。道路、港湾、鉄道、空港の整備を通じて、緊縮財政による景気下押し圧力を和らげる方針です。

■景気の低迷と物価高が続くなか、1月に財務相に就任したレビ氏は物価高是正を優先課題としています。政府と中銀は、協力して物価高抑制に取り組んでいます。利上げが奏功して物価が落ち着く場合には、消費や投資の持ち直し期待も強まり、ブラジルレアルは底堅い推移に向かうと思われます。

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