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12月分全国消費者物価指数について

2015年1月30日

―エネルギー価格等の上昇率縮小でコア前年同月比+2.5%と前月から鈍化―
―1月分東京都区部・コア前年同月比+2.2%で12月分から0.1ポイント鈍化―

●12月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.3となり、前月比は+0.1%の上昇、前年同月比は+2.4%の上昇となった。前年同月比は、96年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、16年6カ月ぶりの19カ月連続上昇となった。

●生鮮食品の前年同月比は▲0.6%の下落となった。11月分は▲3.1%の下落だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.10%とプラスになった。また、エネルギー全体の前年同月比は+2.8%となった。11月分の上昇率+3.9%より伸び率が低下したので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.10%の押下げ要因になった。

●円安でハンドバッグ(輸入品)が前年同月比+10.7%になり12月分総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%の押し上げ要因になった。12月分の宿泊料は前年同月比+7.6%で、11月分の前年同月比+6.0%から伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%の押し上げ要因になった。11月分は前年同月比+1.2%の上昇だった外国パック旅行は、12月分では同+2.6%へ伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。

●原油価格の大幅下落がガソリンや灯油に影響している。ガソリンの前年同月比は▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%だった。灯油の前年同月比は▲3.4%の下落とこちらは28カ月ぶりの下落となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。但し、過去のLNG価格が上昇していることから、電気代の前年同月比は+6.3%となった。11月分の上昇率+6.0%より伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と押し上げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は+4.9%となった。11月分の上昇率+3.6%より伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と押し上げ要因だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は12月分では前年同月比+1.7%と11月分の+3.9%から鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。そのうちテレビは11月分の前年同月比+5.7%から12月分は+3.7%と上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+2.8%で、11月分の前年同月比+2.2%からわずかに上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●12月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.2で、前月比▲0.2%の下落、前年同月比は+2.5%の上昇だが11月分の+2.7%から0.2ポイントの鈍化となった。なお前年同月比は19カ月連続で上昇した。19カ月連続でのプラスは96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来16年8カ月ぶりのことである。増税分を除いたベースの前年同月比は+0.5%で、3カ月連続して+1.0%を割り込んだ。

●12月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.8となり、前月比0.0%の横這い、また前年同月比は+2.1%と11月分と同じになった。前年同月比は15カ月連続上昇した。15カ月連続前年同月比がプラスなのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、16年4カ月ぶりである。

●日銀の3月の金融経済月報の最後に掲載された試算結果を使って、4月分~12月分の全国消費者物価指数の実績値「除く増税分ベース」を計算してみると、総合が+1.5%から+1.6%に上昇した後+1.5%、+1.4%、+1.2%、+1.1%、+0.8%、+0.3%、+0.3%に鈍化。生鮮食品を除く総合は+1.5%、+1.4%、+1.3%と鈍化した後いったん+1.3%と同じ上昇率になり、再び鈍化し+1.1%、+1.0%、+0.9%、+0.7%、+0.5%になった。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合は+0.8%から+0.5%に鈍化した後+0.6%となり、7月分・8月分・9月分がともに+0.6%の上昇率だったが、10月分で+0.5%、11月分で+0.4%、12月分で+0.4%となっている。

●総合指数の季節調整済み指数は12月分が103.4で前月比+0.1%の上昇。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は12月分が103.3で前月比0.0%の横這いだった。総合指数の上昇は生鮮食品によることがわかる。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数12月分は100.8で前月比上昇となった。足元コアコアの部分の物価は上昇基調と言えそうだ。

●ESPフォーキャスト調査・1月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、15年1~3月期は+2.53%で、14年4~6月期の+3.3%をピークにして上昇率が鈍化する見込み。14年度は+2.96%という予測平均値となっている。消費増税の影響を除いたベースでは、15年1~3月期+0.60%と1%割れの伸び率が続くという見通しとなっている。消費増税の影響を除いたベースの14年度の上昇率は+0.95%という予測平均値となっている。15年4~6月期は+0.61%(消費増税の影響を除いたベースで+0.59%)のあと7~9月期は+0.71%で、10~12月期は+0.94%、16年1~3月期は+1.13%と上昇する見込み。15年度の上昇率は+0.84%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15年度66.76ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度121円92銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で14年7~9月期は▲2.8%と、4~6月期の▲2.2%からマイナス幅が拡大した。但し、しっかりしたプラスの成長率が見込まれる10~12月期以降は再び需給ギャップは改善基調に戻り、生鮮食品を除く総合指数の前年同月比プラス基調継続を下支えする要因になると思われる。

1月分の暫定的予測

●1月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.4%程度と12月分と同程度の上昇率になろう。生鮮食品は上昇に寄与しよう。これで20カ月連続の前年同月比上昇となるとみた。20カ月連続は96年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、16年7カ月ぶりだ。前月比は▲0.2%程度とみる。

●1月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.4%程度と12月分の+2.5%から上昇率が鈍化すると予測する。なお、96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来16年9カ月ぶりに、20カ月連続で前年同月比プラスになろう。前月比は▲0.4%程度になろう。1月分が予測通りだと消費増税分を除くと前年同月比は+0.4%程度であり、4カ月連続して+1.0%を下回ることになる。

●また、1月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.0%程度と12月分の+2.1%から上昇率がやや鈍化すると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、16年5カ月ぶりの16カ月連続プラスになりそうだ。前月比は▲0.6%程度になろう。

●関連データである1月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は+2.3%と12月分+2.2%から上昇、19カ月連続の上昇になった。生鮮食品の前年同月比は+5.1%と12月分の同▲0.4%の下落から上昇に転じた。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.22%になり前年同月比の押し上げの主因になった。エネルギー全体の前年同月比は+3.6%となり12月分の+4.3%から鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%になった。ガソリンは1月分では前年同月比▲12.6%で12月分の同▲2.9%から下落幅が拡大し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%になった。一方、電気代の前年同月比は+6.9%で12月分の同+6.0%から上昇し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%になった。

●また、1月分ではテレビの前年同月比が▲4.1%と12月分同▲2.7%から下落幅が拡大し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%になった。一方1月分の宿泊料は前年同月比+6.2%で、12月分の前年同月比+7.6%から伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%の押し下げ要因になった。1月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は▲0.3%だった。1月分は毎年被服及び履物が前月比で下落する。今年は前月比▲6.0%だった。一方、大阪市の総合1月分前年同月比は+2.2%と12月分の同+1.8%から0.4ポイント上昇、20カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は0.0%だった。

●1月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.2%で12月分の+2.3%から鈍化したが、21カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は▲0.6%で3カ月連続の下落だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の1月分前年同月比は+2.2%で12月分と同じ上昇率で、21カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は▲0.3%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の1月分前年同月比は+1.7%で12月分の+1.8%から鈍化したが、15カ月連続で上昇した。1月分の前月比は▲0.8%で3カ月連続の下落だった。一方、大阪市では1月分の前年同月比は+1.8%と12月分の+1.9%から鈍化したが、16カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は▲0.4%だった。