ホームマーケット経済指標解説12月分景気動向指数(速報値)

12月分景気動向指数(速報値)

2015年2月6日

-先行CI前月差+1.5で3カ月ぶりの上昇、一致CI前月差+1.5で2カ月ぶりの上昇-
-基調判断「下方への局面変化を示している」から「改善を示している」に上方修正-

●12月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+1.5と3カ月ぶりの上昇になった。12月分の先行CIの指数水準は105.2だ。

●一致CIは前月差+1.5と2カ月ぶりの上昇になった。12月分の一致CIの指数水準は110.7である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年3月分の96.7よりは14.0ポイント高い水準だが、直近のピークである14年1月分・3月分の114.6よりは3.9ポイント低い水準だ。一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.46と3カ月連続の上昇、7カ月後方移動平均の前月差は▲0.04と7カ月連続の下降になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、13年7月分で景気の基調判断が、「上方への局面変化」から景気拡張の可能性が高いことを示す「改善を示している」に上方修正された後、13年8月分~14年3月分では景気の基調判断は一番良い判断の「改善を示している」で据え置きだった。4月分で「足踏みを示している」に下方修正になり、5月分・6月分・7月分でも「足踏みを示している」に据え置きだった。しかし、8月分で「下方への局面変化」に下方修正され、9月分・10月分・11月分と同じ「下方への局面変化」で据え置きだった。今回12月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている3カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に上方修正された。「改善を示している」に「下方への局面変化」から戻るのは異例のパスということだ。

●先月分のレポートで、『早ければ12月分・速報値が発表される2月6日に景気の基調判断が「下方への局面変化」から「改善」に上方修正される可能性がある。』と指摘した通りの結果である。人々の悲観的なマインドや不透明なマインドを明るくさせる逆転の材料と言えよう。

●今回12月分速報値では先行DIは33.3%と4カ月連続して景気判断の分岐点である50%を下回った。これは、新設住宅着工床面積と中小企業売上げ見通しDIの過去の数字が季節調整替えされた影響による。なお、このところ長短金利差は8カ月連続してマイナスだが、これは日銀の金融政策の影響が大きいだろう。一方、一致DIは55.6%で4カ月連続して景気判断の分岐点である50%を上回るという明るい結果になった。

●12月分景気動向指数・改定値では、一致系列では新たに加わる所定外労働時間指数は速報値段階での前月差寄与度が+0.12程度のプラス寄与になるとみられる。生産関連指標などの確報値が速報値と変わらないとすると、一致CI・改定値の前月差は+1.6程度と速報値の前月差+1.5から若干上方修正になると予測する。また一致DIは新たに加わる所定外労働時間指数がプラス寄与で加わるので、60.0%程度と速報値の55.6%から上方修正になると予測する。

●先行CIでは新たに加わる実質機械受注の前月差寄与度が+0.11程度のプラス寄与になるとみる。在庫率関連データなどが速報値段階と確報値段階とで数字が変わらないと仮定すると、先行CI・改定値の前月差は+1.5程度の上昇と速報値と同程度になると予測する。また、先行DIでは実質機械受注がマイナス符号で加わり、30.0%程度と速報値の33.3%から下方修正になると予測する。

●1月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。全系列がマイナス寄与になることが判明している。1月分の先行CIの前月差が上昇するか下降するかは、残りの5系列次第ではあるが、下降の可能性が大きそうだ。

●また、1月分の先行DIでは、現時点で数値が判明している4系列のうち、東証株価指数1系列がプラス符号に、日経商品指数、長短金利差、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス符号になることが判明している。このため1月分先行DI速報値は、11.1%以上66.7%以下が確定している。これから発表される残りの5系列中プラス符号が4系列になれば、5カ月ぶりに景気判断の分岐点である50%を上回ることになるが、その可能性も十分あるとみられる。