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15年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて

2015年9月1日

◎ 4~6月期設備投資(除くソフトウェア)前期比▲2.7%、4四半期ぶりの減少に。

◎ 4~6月期実質GDP第2次速報値、設備投資、在庫投資は第1次速報値と同程度か。

●15年4~6月期の法人企業統計調査(速報値)の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+6.6%と1~3月期の前年同期比+8.1%からは1.5ポイント鈍化したが、9四半期連続の増加にはなった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは4~6月期の全産業の前年同期比は+5.6%だった。1~3月期の前年同期比+7.3%からは1.7ポイント鈍化した。資本金1000万円以上1億円未満の前年同期比は+9.5%で、1~3月期の前年同期比+12.2%からは2.7ポイント鈍化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+8.0%で、1~3月期の前年同期比+11.1%からは3.1ポイント鈍化した。資本金10億円以上の前年同期比は+2.8%と4四半期連続の増加だが、1~3月期の前年同期比+4.5%からは1.7ポイントの鈍化となった。

●供給サイドのデータから算出した15年4~6月期GDP第1次速報値では名目設備投資の前年同期比は+3.9%の増加で、1~3月期の▲0.1%から4.0ポイント改善しプラスに転じた。名目設備投資4~6月期の前期比は+0.2%の増加で、1~3月期の+2.9%から2.7ポイント鈍化している。4~6月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲2.0%の減少で、また需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲29.9%の減少である。

●法人企業統計15年4~6月期の設備投資・季節調整済み前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は▲2.7%で1~3月期の同+6.0%から8.7ポイント悪化し、4四半期ぶりにマイナスに転じた。4~6月期の原数値の前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は▲30.9%である。これに、断層補正をおこなうと伸び率は若干マイナス幅が拡大しそうだ。第2次速報値で加わる法人企業統計調査のデータは下方修正要因になろう。一方、6月確報分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は上方修正要因になりそうだ。また個人企業経済調査のデータも上方修正要因になりそうだ。総合的に判断して、第2次速報値での実質ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の▲0.1%と同程度になると予測する。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると15年4~6月期は2兆0345億円で14年4~6月期の2兆1239億円から▲893億円の減少となった。原材料在庫は15年4~6月期は6098億円で14年4~6月期の5121億円から977億円の増加となった。合わせて84億円、前年同期に比べ僅かに増加した。一方、15年4~6月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は1兆5698億円で14年4~6月期の1兆7526億円より▲1828億円の減少であった。15年4~6月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、流通在庫だけが前年同期比プラス寄与だった模様だ。残りマイナス寄与の中では、製品在庫の前年同期比寄与度が一番小さくほぼゼロに近かったようだ。仮置きの原材料在庫、仕掛品在庫はどちらも製品在庫より前年同期比マイナス寄与度は大きく、原材料在庫の方がマイナス寄与度は大きかった模様だ。今回の法人企業統計からみると、原材料在庫は上方修正要因になるとみられる。

●15年4~6月期GDP第1次速報値段階で民間在庫投資の実質・前期比寄与度は+0.1%だった。内訳をみると、製品在庫だけがプラス寄与で前期比寄与度+0.2%、仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度▲0.1%、同じく仮置き値の仕掛品在庫も▲0.1%とマイナス寄与で、残る流通在庫は前期比寄与度0.0%だった。第2次速報値段階で原材料在庫が上方修正され、実質在庫投資もわずかに上方修正されるが前期比寄与度は+0.1%程度にとどまるとみた。

(15年4~6月期GDP・第2次速報値)

●15年4~6月期GDP第2次速報値では、設備投資は前期比▲0.1%程度と第1次速報値と同程度になるとみた。また、法人企業統計により在庫投資はやや上方修正されるが前期比寄与度は+0.1%程度のままになるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は4月分+4.9%、5月分+6.4%だったが、6月分の伸び率は4~5月分平均の前年比より低い+3.1%だった。このことからみて第2次速報値での公共投資の前期比は第1次速報値の+2.6%から+0.7%程度に下方修正されるとみた。

●総合的に判断すると15年1~3月期実質GDP第2次速報値は前期比▲0.4%程度、前期比年率▲1.6%程度と予測する。但し、設備投資は法人企業統計での下方修正と個人企業などその他の部分による上方修正が相殺するとみた。在庫投資は上方修正されるが、公共投資は下方修正されよう。中身は入れ替わるものの、第1次速報値の前期比▲0.4%、前期比年率▲1.6%と同程度の伸び率になると予測する。