ホームマーケット経済指標解説8月分全国消費者物価指数について

8月分全国消費者物価指数について

2015年9月25日

―コア指数前年同月比は▲0.1%、エネルギー主因に28カ月ぶりの下落―

―コアコア指数前年同月比は+0.8%、17年ぶりの23カ月連続上昇―

●8月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.9となり、前月比は+0.2%上昇した。総合指数の前年同月比は+0.2%の上昇となった。7月分と同じ伸び率で、27カ月連続の前年同月比上昇となった。27カ月連続前年同月比がプラスなのは87年6月から94年6月まで85カ月間連続で上昇していた時以来で、21年2カ月ぶりのことだ。

●生鮮食品の前年同月比は+7.6%の上昇だった。7月分の+7.3%の上昇からやや伸び率を高めたので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲10.5%下落した。7月分は▲8.7%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.16%の押下げ要因になった。

●ガソリンの前年同月比は昨年12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の7月分では▲15.2%に、今回の8月分では▲17.8%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.07%だった。総合指数の前年同月比の下落に寄与した。灯油の前年同月比は昨年12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、7月分では▲21.4%、8月分では▲23.0%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。電気代の前年同月比は▲5.1%で、7月分の▲3.8%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.05%と押し下げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は▲9.5%と、こちらも7月分の▲6.6%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は8月分では前年同月比+5.4%と7月分の+1.9%から上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.04%だった。そのうちテレビは7月分の前年同月比+5.3%から8月分は+8.7%となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+2.0%で、7月分の前年同月比+0.8%からやや上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。これらは脱デフレの動きが着実に進んでいる品目だろう。

●8月分の宿泊料は前年同月比+4.5%で、7月分の前年同月比+5.0%から上昇率がやや縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。7月分は前年同月比▲1.9%の下落だった外国パック旅行は、8月分では同▲2.2%と下落率がやや拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの7月分から8月分への寄与度差をみると、財は▲0.04%。サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.03%で対照的であった。

●8月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.4で、前月比0.0%と横這いだった。前年8月分の指数は103.5で、前年同月比は▲0.1%になった。前年同月比は28カ月ぶりにマイナスに転じた。

●8月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.5となり、前月比+0.3%の上昇、また前年同月比は+0.8%の上昇となった。7月分の+0.6%から伸び率が高まった。前年同月比は23カ月連続上昇した。23カ月連続前年同月比がプラスになったのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年ぶりである。

●総合指数の季節調整済み指数は8月分が103.8で前月比0.0%と横這い。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は8月分が103.3でこちらも前月比0.0%と横這い。2月分の102.9を直近のボトムとして緩やかな上昇基調にある。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数8月分は101.4で前月比+0.2%の上昇になった。1月分の100.6を直近のボトムとしてこちらは着実に緩やかな上昇基調を続けている。

●ESPフォーキャスト調査・9月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、15年7~9月期▲0.14%と、ここで伸び率は弱含むというのが平均的な見通しである。その後前年同期比の予測平均値は上昇に転じ、10~12月期は+0.15%、16年1~3月期は+0.61%と上昇していく見込み。15年度の上昇率は+0.18%。16年度の上昇率は+1.04%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15年51.81ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=123円04銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年4~6月期は▲1.6%と、15年1~3月期の▲1.2%からマイナス幅がやや拡大した。15年7~9月期での需給ギャップ改善は微妙かもしれないが、10~12月期以降は潜在成長率を上回る成長になると思われ、需給ギャップの改善が見込まれる。先行きの消費者物価指数の前年同月比の上昇要因になると思われる。

(9月分の暫定的予測)

●9月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、8月分の+0.2%から鈍化し、0.0%程度の伸び率になると予測する。28カ月ぶりに前年同月比がプラスでなくなりそうだ。前月比は0.0%程度とみる。

●9月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は▲0.2%程度と、8月分の同▲0.1%からややマイナス幅を拡大すると予測する。前月比は▲0.1%程度になろう。

●また、9月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+0.9%程度と8月分の同+0.8%から伸び率を高めると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、17年1カ月ぶりの24カ月連続プラスになりそうだ。前月比は+0.1%程度になろう。

●関連データである9月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は▲0.1%と8月分の+0.1%の上昇から下落に転じた。28カ月ぶりの下落になった。8月分で+6.2%だった生鮮食品の前年同月比は+1.2%と大幅に鈍化した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.18%になり前年同月比の下落要因になった。エネルギー全体の前年同月比は▲13.1%となり8月分の▲10.7%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.16%になった。一方、9月分ではテレビの前年同月比は+29.9%で8月分同+10.9%から上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.07%になり前年同月比の押し上げ要因になった。9月分の宿泊料は前年同月比+3.4%で、8月分の前年同月比+4.5%から伸び率がやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%になった。9月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は0.0%の横這いだった。一方、大阪市の総合9月分前年同月比は+0.2%と8月分の同+0.7%から伸び率が鈍化したものの、28カ月連続の上昇になった。9月分の前月比は0.0%だった。

●9月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.2%で8月分の同▲0.1%から下落率がやや拡大し、3カ月連続の下落になった。9月分の前月比は▲0.1%で2カ月ぶりの下落だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の9月分前年同月比は+0.1%で8月分の+0.3%から鈍化したものの、29カ月連続の上昇になった。9月分の前月比は▲0.1%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の9月分前年同月比は+0.6%で8月分の+0.4%から上昇した。5カ月連続の上昇で着実に上昇率が高まっている。9月分の前月比は+0.1%だった。大阪市では9月分の前年同月比は+0.8%と8月分と同じ伸び率になった。これで24カ月連続の上昇である。9月分の前月比は+0.1%だった。