ホームマーケット経済指標解説10月分機械受注について

10月分機械受注について

2015年12月9日

― 10月機械受注(除船電民需)鉄道車両受注増で前月比+10.7%と2カ月連続増加 ―
― 内閣府判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に上方修正 ―

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+10.7%と2カ月連続の増加になった。また、前年同月比は+10.3%と3カ月ぶりの増加に転じた。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は10月分も9月分と同様にゼロだった。

●機械受注を機種別にみると、鉄道車両が前年同月比+206.2%と高い伸び率になっている。機械受注(除船電民需)の前年同月比に対する寄与度は+7.1%と大きい。但し、鉄道車両を除いても機械受注(除船電民需)前年同月比は+3.2%のプラスになるのでしっかりしている。前月比も+3.6%程度のプラスの伸び率になる。

●機械受注の除船電民需以外の大型案件は全部で8件だったという。内訳をみると、非製造業の電力業で火水力原動機3件、運輸業・郵便業で船舶1件の大型案件があった。また外需では火水力原動機1件、航空機2件、船舶1件の合計4件大型案件があったということだ。

●10月分の製造業の前月比は+14.5%と5カ月ぶりの増加になった。製造業15業種中、8業種が増加で7業種が減少だった。

●10月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+10.7%と2カ月連続の増加になった。非製造業全体では、前月比は+37.3%と2カ月連続の増加である。前月比+204.1%の電力業が入ると増加率は大幅になる。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。業種別にみると広がりの面ではいまいちだ。

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+2.9%の増加である。この見通しを達成するには例えば、11月分で前月比▲14.5%の大幅反動減、12月分で前月比+0.1%で達成できる。実績は2四半期ぶりの増加になる可能性が大きくなったとみられる。

●10月分の外需は、前月比+41.6%と2カ月連続の増加となった。10~12月期見通しは前期比▲1.9%の減少だが、実績は増加になる可能性が大きいように思われる。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の10月分前月比は▲2.8%と3カ月ぶりの減少になったが水準は高い。10~12月期見通しは+1.8%の増加だが、11月分・12月分が前月比横ばいでも前期比+3.5%になる。実績が3四半期連続の増加になれば中小企業の機械の設備投資が底堅さの裏付けとなろう。

●10~12月期の連続ドラマで視聴率(ビデオリサーチ関東地区)が初めて20%を超えたのは11月15日放送「下町ロケット」の20.2%だ。素晴らしい技術を持った中小企業の部品を使った純国産ロケットの打ち上げが成功した回だ。ガウディ計画編でも12月6日放送分で20.4%とさらに最高視聴率を更新した。様々な困難を乗り越えた中小企業にエールを送りながらテレビを見ている視聴者が多いと思われる。

●NHKの朝の連続テレビ小説では、初の幕末スタートとなった明治期の女性経営者を主人公とする「あさが来た」の視聴率が第3週以降第8週まで毎週最高視聴率を更新し、第10週の12月4日には27.2%を記録した。13年9月16日の「あまちゃん」の最高視聴率27.0%を超える数字だ。「下町ロケット」「あさが来た」のヒットは中小企業の経営者が困難を乗り越え頑張る姿を応援する、世の中の風潮を示唆していよう。中小企業の設備投資にも好影響を与えることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、15年7月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正された。さらに8月分では「機械受注は、足踏みがみられる」へと連続して下方修正となった。8月には中国発世界同時株安など企業心理を冷え込ませる状況が生じたからだ。9月分では判断据え置きだったが、今回10月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に判断が上方修正された。

●10月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注(製造業)がある。前月差寄与度は+0.53程度のマイナス寄与になるとみる。その他の系列の改定値が速報値から変わらないとすると、先行CI・改定値の前月差は速報値の+1.3の上昇から上方修正され+1.9程度になるとみる。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)がプラス符号で加わり、50.0%程度と速報値の44.4%から上方修正になると予測する。