ホームマーケット経済指標解説11月分全国消費者物価指数について

11月分全国消費者物価指数について

2015年12月25日

―コア指数前年同月比は+0.1%、4カ月ぶりの上昇―
―コアコア指数前年同月比は+0.9%、17年3カ月ぶりの26カ月連続上昇―

●11月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.5となり、前月比は▲0.3%下落した。総合指数の前年同月比は+0.3%となった。前年同月比は2カ月連続上昇した。

●生鮮食品の前年同月比は+6.3%の上昇だった。10月分の+9.6%の上昇から伸び率が鈍化したので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.14%となった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲11.1%下落した。10月分は▲11.8%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.08%と前年同月比の押上げ要因になった。

●ガソリンの前年同月比は14年12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の10月分では▲19.2%に、今回の11月分では▲17.5%になった。11月分の前月比が▲1.4%にもかかわらず、前年の水準の関係で前年同月比の減少率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.06%とプラス寄与になった。灯油の前年同月比は14年12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、10月分では▲27.4%、11月分でも▲27.4%だった。公表資料で総合指数の前年同月比に対する寄与度差が+0.01%と押上げ要因になっているのは四捨五入の関係だろう。電気代の前年同月比は▲5.6%で、10月分の▲5.7%から下落率が僅かに縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。都市ガス代の前年同月比は▲12.1%と、10月分の▲12.8%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は11月分では前年同月比+14.0%と10月分の+13.3%から上昇率が拡大した。脱デフレの動きが着実に進んでいる品目だろう。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。そのうちテレビは10月分の前年同月比+20.4%から11月分は+22.3%となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+4.8%で、10月分の前年同月比+3.7%から上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。

●11月分の宿泊料は前年同月比+4.1%で、10月分の前年同月比+2.4%から上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。10月分は前年同月比▲1.6%の下落だった外国パック旅行は、11月分では同+6.2%と上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.05%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの10月分から11月分への寄与度差をみると、財は▲0.01%。サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.06%であった。

●11月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.4で、前月と同水準だった。前年同月比は+0.1%の上昇になった。前年同月比は4カ月ぶりに上昇に転じた。

●11月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.7で、前月と同水準だった。前年同月比は+0.9%の上昇となった。10月分の+0.7%から伸び率が上昇した。前年同月比は26カ月連続上昇した。26カ月連続前年同月比がプラスになったのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年3カ月ぶりである。

●総合指数の季節調整済み指数は11月分が103.6で前月比▲0.1%の下落。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は11月分が103.3でこちらは前月比+0.1%の上昇。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数11月分は101.6で前月比+0.2%の上昇になった。

●ESPフォーキャスト調査・12月調査によると、15年7~9月期に▲0.1%まで伸び率が弱まった全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比は、その後の各四半期の予測平均値をみると、10~12月期は+0.02%、16年1~3月期は+0.44%、4~6月期は+0.52%、7~9月期は+0.82%、10~12月期は+1.08%と緩やかに上昇していく見込みだ。15年度の上昇率は+0.12%。16年度の上昇率は+0.92%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15暦年49.81ドル/バレル、16暦年51.31ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=122円19銭、16年度1ドル=124円09銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年7~9月期は▲1.3%と、15年4~6月期の▲1.4%からマイナス幅がやや縮小した。ESPフォーキャスト調査・12月調査によると10~12月期は前期比年率+1.31%のプラス成長が予測されている。10~12月期以降は潜在成長率を上回る成長になる可能性があり、需給ギャップの改善が見込まれる。先行きの消費者物価指数の前年同月比の上昇要因になると思われる。

●本日発表された1 2 月上旬分貿易統計の入着原油価格は35,084円/Klで11月分の36,201円/Klよりも低いが、前年の水準の関係で、12月上旬分の前年比は▲42.3%程度と11月分の同▲43.1%より下落率が縮小している。CPIに関してもエネルギー価格は前年比が若干縮小しやすい局面に入っていると考えられる。

12月分の暫定的予測

●1 2 月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、11月分の+0.3%からやや鈍化し、+0.2%程度になると予測する。3カ月連続前年同月比はプラスになろう。前月比は0.0%程度とみる。

●12月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+0.2%程度と、11月分の同+0.1%に続き、2カ月連続の上昇になると予測する。前月比は0.0%程度になろう。

●また、12月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+0.9%程度と11月分と同程度の伸び率になると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、17年4カ月ぶりの27カ月連続プラスになりそうだ。前月比は0.0%程度になろう。

●関連データである12月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は0.0%と11月分の+0.1%から鈍化した。11月分で+4.4%だった生鮮食品の前年同月比は▲1.4%へと下落に転じた。今年はエルニーニョ現象による暖冬の影響で野菜が早く育ちすぎた影響が出ているのだろう。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.21%になり前年同月比の下落要因になった。エネルギー全体の前年同月比は▲12.1%で11月分の下落率の同▲12.4%からマイナス幅が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%の上昇要因になった。一方、12月分ではテレビの前年同月比は+30.4%で11月分同+27.2%から上昇率が高まったが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。12月分の宿泊料は前年同月比+1.0%で、11月分の前年同月比+4.1%から伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%になった。12月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は0.0%だった。一方、大阪市の総合12月分前年同月比は+0.8%と11月分の同+0.8%と同じ伸び率で、31カ月連続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.1%の下落だった。

●12月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+0.1%で11月分の同0.0%から伸び率が上昇した。6カ月ぶりの上昇だ。12月分の前月比は▲0.1%だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の12月分前年同月比は+0.7%で11月分の+0.5%から伸び率が上昇し、32カ月連続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.1%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の12月分前年同月比は+0.6%で11月分と同じ伸び率で、8カ月連続の上昇になった。12月分の前月比は▲0.1%だった。大阪市では12月分の前年同月比は+0.9%と11月分の同+0.7%から伸び率が上昇した。これで27カ月連続の上昇である。12月分の前月比は0.0%だった。