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12月分機械受注について

2016年2月17日

― 12月機械受注(除船電民需)前月比+4.2%と2カ月ぶり増加 ―
― 1~3月期前期比は、適用達成率102.6で割引く必要あるが、+8.6%と増加基調維持 ―
― 内閣府判断「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置き ―

●12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+4.2%と2カ月ぶりの増加になった。11月分の2ケタの大幅な減少率の反動という面もあろう。但し、前年同月比は▲3.6%と3カ月ぶりに減少に転じた。

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+2.9%の増加であったが、実績は同+4.3%と上振れた。

●12月分の製造業の前月比は▲3.4%と2カ月連続の減少になった。製造業15業種中、8業種が増加で7業種が減少だった。

●機械受注・製造業の大型案件は前回11月分では化学工業の化学機械が1件あった。その反動で12月分の化学工業の前月比は▲26.3%と製造業で最大の減少率になった。こうした要因があるものの、製造業は2カ月連続の減少で基調は弱めだ。10~12月期の前期比は2四半期ぶりの増加となったものの+0.5%の増加にとどまった。

●12月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+8.5%と2カ月ぶりの増加になった。非製造業全体でも、前月比は+7.4%と2カ月ぶりの増加である。非製造業12業種中、8業種が増加で4業種が減少となった。10~12月期の非製造業(除船電民需)の前期比は+6.9%と3四半期ぶりの増加となった。

●機械受注(除船電民需)非製造業の大型案件は前回11月分ではなかったが、今回12月分では通信業の通信機1件があった。通信業の前月比は+31.4%と非製造業では金融業・保険業に次ぐ2番目の増加率である。

●機械受注の除船電民需以外の大型案件は全部で5件だったという。内訳をみると、非製造業の電力業で原子力原動機1件の大型案件があった。また外需では⽕水力原動機2件、発電機1件、航空機1件の合計4件の大型案件があったということだ。

●12月分の外需は、11月分前月比▲25.0%に続き、同▲3.1%と2カ月連続の減少になった。10~12月期見通しは前期比▲1.9%の減少だったが、実績は同+8.0%の増加となった。年明け以降の世界のマーケットの混乱などから、1月分以降の動向が注目される。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の12月分前月比は▲7.1%と2カ月ぶりの減少になった。10~12月期見通しは+1.8%の増加だったが、実績は同+3.5%の増加となった。実績が3四半期連続の増加であることは、足元の中小企業の機械の設備投資が底堅いことを裏付けていよう。

●内閣府の基調判断は、15年7月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正された。さらに8月分では「機械受注は、足踏みがみられる」へと連続して下方修正となった。8月には中国発世界同時株安など企業心理を冷え込ませる状況が生じたからだ。9月分では判断据え置きだったが、10月分では「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に判断が上方修正された。前回11月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、11月の実績は大きく減少した」となったが、これは機械受注(除船電民需)前月比が▲14.4%と2ケタの大幅な減少率なので、言及せざるをえなかったのだろう。今回12月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で判断据え置きとなった。

●1~3月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+8.6%の増加である。但し、過去3四半期の達成率の平均が102.6%であり、嵩上げ分を除くと実質的には+6.0%程度である。それでも増加基調を維持する見通しだ。なお、年明け以降のマーケットの混乱の影響などが下振れ要因にならないか注視していく必要があろう。

●12月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注(製造業)がある。前月差寄与度は▲0.13程度のマイナス寄与になるとみる。先行CI・改定値の前月差は▲1.2程度の下降と速報値と同程度になるとみた。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)がプラス符号で加わり、60.0%程度と速報値の55.6%から上方修正になると予測する。