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1月分機械受注について

2016年3月14日

―1⽉分機械受注(除船電⺠需)前⽉⽐+15.0%と2カ⽉連続増加―
―鉄鋼業は前⽉⽐+928.5%、⼤型案件が3件―
―1〜3⽉期前期⽐⾒通しは+6.4%、あと2カ⽉各前⽉⽐▲4.8%で達成可能―
―内閣府判断「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置き―

●1⽉分機械受注(除く船舶電⼒の⺠需ベース、以下、除船電⺠需と表記)の前⽉⽐は+15.0%と2カ⽉連続の増加になった。
● 機械受注統計調査(実績調査)における需要者(業種)分類の表章変更が⾏われた関係で、従来は毎年3⽉調査公表時点に季節調整系列の遡及改訂が⾏われていたが、本年については、需要者(業種)分類の表章変更と同時に、1⽉調査公表時に⾏われた。なお、3⽉調査公表時においては、季節調整系列の遡及改訂は⾏われないということだ。
●1⽉分の製造業の前⽉⽐は+41.2%と2カ⽉連続の増加になった。製造業17業種中、8業種が増加で9業種が減少だった。
●機械受注・製造業の⼤型案件は今回1⽉分では鉄鋼業で⽕⽔⼒原動機2件、化学機械1件、計3件あった。1⽉分の鉄鋼業の前⽉⽐は+928.5%の⼤幅増加になった。
●1⽉分の⾮製造業(除船電⺠需)の前⽉⽐は+1.0%と2カ⽉連続の増加になった。⾮製造業全体でも、前⽉⽐は+3.6%と2カ⽉連続の増加である。⾮製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。
●機械受注(除船電⺠需)⾮製造業の⼤型案件は今回ゼロだ。前回12⽉分では通信業の通信機1件があり、通信業の前⽉⽐は、12⽉分が+22.8%と⾮製造業では⾦融業・保険業に次ぐ2番⽬の増加率であった反動で1⽉分は▲10.6%のマイナスである。
●機械受注の除船電⺠需以外の⼤型案件は全部で4件だったという。内訳をみると、⾮製造業の電⼒業で⽕⽔⼒原動機2件の⼤型案件が、卸売業・⼩売業で船舶1件があった。また外需では航空機1件の⼤型案件があったということだ。
●1⽉分の外需は、前⽉⽐▲29.4%と3カ⽉連続の減少になった。中国経済などの減速の影響が出ているのであろうか。年明け以降の世界のマーケットの混乱などもあり、2⽉分以降の動向が注⽬される。
●中⼩企業の動きを反映している部分がある代理店受注の1⽉分前⽉⽐は+11.4%と2カ⽉ぶりの増加になった。1〜3⽉期⾒通しは先⽉段階では▲3.9%の減少だったが、季節調整替えで同+1.7%の増加となった。4四半期連続の増加⾒通しであることは、⾜元の中⼩企業の機械の設備投資が底堅いことを裏付けていよう。NHK朝の連続テレビ⼩説「あさが来た」は第132話までの平均が23.5%で、2002年度前期放送の「さくら」の23.3%を抜いて平均視聴率の今世紀最⾼を更新しそうだ。前向きな経営者を応援する⾵潮が、「借得⾦利(マイナス⾦利)」の後押しとともに、中⼩企業の設備投資を後押しすることを期待したい。
●内閣府の基調判断は、15年7⽉分では「機械受注は、持ち直しの動きに⾜踏みがみられる」に8カ⽉ぶりに下⽅修正された。さらに8⽉分では「機械受注は、⾜踏みがみられる」へと連続して下⽅修正となった。8⽉には中国発世界同時株安など企業⼼理を冷え込ませる状況が⽣じたからだ。9⽉分では判断据え置きだったが、10⽉分では「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に判断が上⽅修正された。11⽉分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、11⽉の実績は⼤きく減少した」となったが、これは機械受注(除船電⺠需)前⽉⽐が▲14.4%と2ケタの⼤幅な減少率なので、⾔及せざるをえなかったのだろう。前回12⽉分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で判断据え置きとなった。今回1⽉分でも「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で判断据え置きだった。
●1~3⽉期の機械受注(除船電⺠需)の⾒通しは前期⽐+8.6%の増加から同+6.4%に変わった。あと2カ⽉各前⽉⽐▲4.8%で達成可能である。

●1⽉分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先⾏系列では実質機械受注(製造業)がある。刈り込まれるものの前⽉差寄与度はかなりのプラス寄与になるとみる。その結果、先⾏CI・改定値の前⽉差は上⽅修正されマイナスでなくなることで、速報値が▲0.4と3カ⽉連続で下降した流れを断ち切る可能性があるとみた。また、先⾏DIでは実質機械受注(製造業)がプラス符号で加わり、55.6%程度と速報値の44.4%から上⽅修正になり、景気判断の分岐点の50を上回ると予測する。