ホームマーケット経済指標解説2016年7~9月期実質GDP(第1次速報値)予測

2016年7~9月期実質GDP(第1次速報値)予測

2016年10月31日

●11月14日に発表される7~9月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.1%程度、前期比年率+0.4%程度を予測する。ESPフォーキャスト調査10月調査の予測平均値前期比年率+0.76%を下回り、平均値と低位8人平均の同+0.16%との間の数字になるとみた。

●7~9月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲0.1%程度を予測する。個人消費は前期比0.0%程度と8月・9月に6個の台風が上陸するなど天候不順などもありもたつく可能性が大きいだろう。設備投資も第1次速報値段階で使用する供給サイドの関連データが弱く、前期比、0.0%程度になりそうだ。

●外需は、輸出が2四半期ぶりに前期比増加になるとみた。外需の前期比寄与度は2四半期ぶりにプラス寄与に転じるとみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7~9月期前期比は+4.0%の増加になった。逆に非耐久消費財出荷指数は同▲2.0%の減少だ。同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の7~9月期前期比は+0.9%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7~9月期前期比は▲1.1%減少した。乗用車販売台数の7~9月期前期比は▲0.1%の減少だ。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の7~8月分平均比対4~6月分平均比は▲0.1%の減少となっている。総合的に判断すると、7~9月期第1次速報値での個人消費の前期比は0.0%程度になるとみた。

●住宅投資は前期比0.0%程度と横ばいになると見た。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の7~9月期前期比は▲0.3%の減少になった。資本財(除.輸送機械)は同+1.0%の増加である。また、建設財は同▲1.7%の減少になった。供給サイドから推計される7~9月期の実質設備投資・前期比0.0%程度と横ばいになるとと予測した。

●在庫投資の前期比寄与度は▲0.2%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が4~6月期GDP第2次速報値時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲2387億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲2331億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は4~6月期は▲1.3%のマイナスだったが、7~9月期は▲2.5%のマイナスになったことなどを考慮した。

●公共投資は前期比+0.6%程度と3四半期連続プラスの伸び率になると見た。公共工事出来高の前年比は4~6月期は▲5.2%、7月分は▲4.6%、8月分は▲5.7%であることなどを参考に予測した。

●実質輸出入の動向をみると輸出の7~9月期前期比は+0.7%の増加になった。輸入は同+0.6%の増加になっている。7~9月期第1次速報値の外需のモノの面はプラス寄与になりそうだ。サービス面を考慮して、GDPの輸出の7~9月期前期比は+0.5%の増加、同輸入は同▲0.4%と予測した。7~9月期の外需の前期比寄与度は+0.1%程度のプラスになると予測する。

●7~9月期の実質GDP第1次速報値・前期比は現行の1993SNAで算出される最後のQEになる。緩やかながらでも3四半期連続プラス成長になれば、足元の景気の底堅さは示唆することになろう。