ホームマーケット経済指標解説2016年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2016年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2016年6月8日

1~3月期実質GDP第2次速報値は設備投資などで上方修正
政府経済見通し+1.7%達成に16年度各四半期・前期比年率+2.3%必要

●1~3月期の実質GDP・第2次速報値は、前期比+0.5%、前期比年率+1.9%と、第1次速報値の前期比+0.4%、前期比年率+1.7%から上方修正された。法人企業統計で設備投資が主要因になり+2%程度へ上方修正されるという事前の予想通りの変化なのでマーケットに及ぼす影響は軽微であろう。

●1~3月期の実質GDP・第2次速報値の前期比をみると、設備投資の他に、個人消費、住宅投資、政府最終消費が上方修正され、輸入もマイナス幅が縮小し実質GDPの押上げに寄与した。一方、民間在庫投資、公共投資が下方修正された。公的在庫投資、輸出の前期比は第1次速報値と変わらなかった。

●また、名目GDP・第2次速報値は、前期比+0.6%、前期比年率+2.4%と、第1次速報値の前期比+0.5%、前期比年率+2.0%から上方修正となった。

●1~3月期の法人企業統計の発表を受けて設備投資は第2次速報値では前期比▲0.7%と第1次速報値の▲1.4%から0.7ポイントの上方修正となった。

●実質民間在庫投資の前期比寄与度は▲0.1%と、第1次速報値の同▲0.0%から0.1ポイントの下方修正となった。前期比寄与度の内訳をみると、製品在庫は▲0.1%で第1次速報値と同じだった。流通在庫は+0.2%で第1次速報値と同じだった。仕掛品在庫は▲0.2%で第1次速報値(仮置き値)の▲0.1%から下方修正、原材料在庫は▲0.0%で第1次速報値(仮置き値)と同じだった。

●1~3月期の実質個人消費・第2次速報値は、前期比+0.6%と、第1次速報値の前期比+0.5%から上方修正された。

●1~3月期のGDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.1%であった。今回第2次速報値では▲0.0%に下方修正された。この内訳に関しては、流通在庫、製品在庫、原材料在庫が前年同期比寄与度を若干プラス方向に押し上げたが、仕掛品在庫が前年同期比寄与度でマイナス方向に働いた模様だ。前年同期比プラス寄与は第1次速報値でマイナス寄与だった製品在庫と、流通在庫だった。仕掛品在庫と原材料在庫の前年同期比寄与度はマイナスだったようだ。原材料在庫の前年同期比マイナス寄与度は小さくなった。

●次の4~6月期の統計は、まだ主に4月分のデータだけしか発表されていないが、6月7日発表のESPフォーキャスト調査の総平均では、前期比年率+0.12%とプラス成長の見通しである。

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+1,592億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲1,266億円である。

●16年度実質GDP成長率の政府見通し実績見込みは+1.7%だが、達成には16年度各四半期の前期比が+0.57%(前期比年率+2.3%)となることが必要だ。