2016年3月分景気動向指数（速報値）

●３月分の景気動向指数・速報値では、先行ＣＩは前月差▲０．５と２カ月連続の下降となった。３月分の先行ＣＩの指数水準は９８．４となった。
●一致ＣＩは前月差＋０．５と２カ月ぶりの上昇となった。３月分の一致ＣＩの指数水準は１１１．２である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである１１年４月分の９６．６よりは１４．６ポイント高い水準だが、直近のピークである１４年３月分の１１６．１よりは４．９ポイント低い水準だ。
●一致ＣＩの３カ月後方移動平均の前月差は＋０．１７と５カ月ぶりの上昇、７カ月後方移動平均の前月差は▲０．１０と５カ月連続の下降になった。
●一致ＣＩを使った景気の基調判断は、今回３月分でも、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」で、１１カ月連続で同じ判断となった。
●最近の一致ＣＩを使った景気の基調判断をみると、１４年１２月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている３カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に「下方への局面変化」から上方修正された。「下方への局面変化」から「改善を示している」に戻るのは異例のパスということだった。１５年１月分で、但し書きは消えて、「改善を示している」という判断継続になった。１５年２月分～４月分でも、「改善を示している」という判断継続になったが、５月分で景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」に下方修正され、１５年６月分～１６年３月分でも判断据え置きとなった。
●次回４月分でも、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」の判断が継続しそうだ。基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に戻るには、「当月の前月差の符号がプラス。かつ原則として３カ月以上連続して３カ月後方移動平均が上昇する」ことが必要だ。過去の数字が変わらなければ４月分の前月差が＋１．０以上なら３カ月後方移動平均が上昇となるが、それでも２カ月連続にすぎない。熊本地震の影響を考慮すると、４月分の３カ月後方移動平均は下降となる可能性の方が大きいだろう。いち早く「改善」に戻る可能性があるのは９月前半に発表される７月分とみられる。

●一方、次回４月分で「下方への局面変化」に悪化するには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ７カ月後方移動平均（前月差）の符号がマイナスに変化し、マイナス幅（１カ月、２カ月、または３カ月の累積）が１標準偏差分（０．８４）以上」であることが必要だ。４月分の一致ＣＩ前月差が▲３．２ポイントの大幅な下降幅になると、４月分の７カ月後方移動平均前月差の３カ月の累積が▲０．８４になり、１標準偏差分（０．８４）以上下方に振れることになる。しかし、一致指数・第一系列の鉱工業生産指数は、経済産業省算出の４月分先行き試算値前月比・最頻値が＋０．８％、９０％の確率に収まる範囲で▲０．２％～＋１．８％になる見通しだ。熊本地震の影響は加味されていないが、それを考慮しても、一致ＣＩの前月差が▲３．２下降し、「下方への局面変化」に悪化する可能性は相当小さいだろう。
●今回３月分速報値では先行ＤＩは２７．８％と２カ月連続景気判断の分岐点である５０％を下回った。また、一致ＤＩは４３．８％とこちらは４カ月連続して景気判断の分岐点である５０％を下回った。
●３月分景気動向指数・改定値では、先行ＣＩに新たに加わる実質機械受注（製造業）の前月差寄与度は＋０．０４程度と小幅プラス寄与になると予測する。指標発表日は５月１９日である。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行ＣＩ・改定値の前月差は▲０．５程度の下降と速報値の▲０．５と同程度になるとみた。また、先行ＤＩでは実質機械受注（製造業）の符号がマイナス符号になるとみて、２５．０％程度と速報値の２７．８％から下方修正になると予測する。
●３月分景気動向指数・改定値では、一致ＣＩは所定外労働時間指数が新たに加わる。所定外労働時間指数確報値が速報値と同じ前月比＋０．２％なら前月差＋０．０３程度のプラス寄与になるとみられる。速報値段階と各系列の改定値が不変とすると、全体の一致ＣＩ前月差は＋０．６程度と速報値の＋０．５より若干上方修正となろう。また、一致ＤＩでは所定外労働時間指数がマイナス符号で加わることになるため、他の指標の符号が不変なら、３８．９％程度と速報値の４３．８％から下方修正になると予測する。
●４月分の先行ＣＩの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しＤＩの４系列である。このうち日経商品指数、中小企業売上げ見通しＤＩの２系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、東証株価指数の２系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。
●また、４月分の先行ＤＩでは、数値が判明している４系列のうち、日経商品指数１系列がプラス符号に、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しＤＩの３系列がマイナス符号になることが判明している。このため４月分先行ＤＩ速報値は、１１．１％以上６６．７％以下が確定している。