ホームマーケット経済指標解説2016年4月分景気動向指数(速報値)

2016年4月分景気動向指数(速報値)

2016年6月7日

先行CI前月差+1.4、一致CI前月差+2.0とともに2カ月連続上昇
4月分の基調判断、「足踏みを示している」で継続
-3月分の一致CI3カ月後方移動平均の前月差マイナス転換で5月分も「足踏み」に-
-8月5日発表の6月分で基調判断が「改善」に上方修正される可能性高まる-

●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+1.4と2カ月連続の上昇となった。4月分の先行CIの指数水準は100.5となった。

●一致CIは前月差+2.0と2カ月連続の上昇となった。4月分の一致CIの指数水準は112.2である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の96.6よりは15.6ポイント高い水準だが、直近のピークである14年3月分の116.2よりは4.0ポイント低い水準だ。

●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.13と6カ月ぶりの上昇となった。営業利益が入ったことで3月分の3カ月後方移動平均の前月差はこれまでの上昇から下降に変わった。7カ月後方移動平均の前月差は+0.11と6カ月ぶりの上昇となった。

●一致CIを使った景気の基調判断は、今回4月分でも、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」で、12カ月連続で同じ判断となった。

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、14年12月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている3カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に「下方への局面変化」から上方修正された。「下方への局面変化」から「改善を示している」に戻るのは異例のパスということだった。15年1月分で、但し書きは消えて、「改善を示している」という判断継続になった。15年2月分~4月分でも、「改善を示している」という判断継続になったが、5月分で景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」に下方修正され、15年6月分~16年4月分でも判断据え置きで、1年間同じ判断となった。

●次回5月分でも、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」の判断が継続しそうだ。基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に戻るには、「当月の前月差の符号がプラス。かつ原則として3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇する」ことが必要だ。過去の数字が変わらなければ5月分の前月差が▲2.1以上なら3カ月後方移動平均が上昇となるが、それでも2カ月連続にすぎない。5月分の前月差が▲2.0以上で6月分の前月差が+0.1以上なら、基調判断が上方修正される。8月5日に発表される6月分で「改善」に戻る可能性があるとみられる。

●一方、次回5月分で「下方への局面変化」に悪化するには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月、または3カ月の累積)が1標準偏差分(0.84)以上」であることが必要だ。5月分の一致CI前月差が▲4.4ポイントの大幅な下降幅になると、5月分の7カ月後方移動平均前月差の3カ月の累積が▲0.84になり、1標準偏差分(0.84)以上下方に振れることになる。しかし、一致指数・第一系列の鉱工業生産指数は、経済産業省算出の5月分先行き試算値前月比・最頻値が0.0%、90%の確率に収まる範囲で▲1.0%~+1.0%になる見通しだ。それから判断すると、一致CIの前月差が▲4.4下降し、「下方への局面変化」に悪化する可能性は相当小さいだろう。

●今回4月分速報値では先行DIは55.6%と10カ月ぶりに景気判断の分岐点である50%を上回った。また、一致DIは25.0%とこちらは5カ月連続して景気判断の分岐点である50%を下回った。

●4月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は▲0.32程度とマイナス寄与になると予測する。指標発表日は6月9日である。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は2カ月連続上昇になるものの、+1.0程度の上昇と速報値の+1.4から下方修正になるとみた。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナス符号になるとみて、50.0%程度と速報値の55.6%から下方修正になると予測する。

●4月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。所定外労働時間指数確報値が速報値と同じ前月比+0.1%なら前月差+0.01程度のプラス寄与になるとみられる。一致CI前月差は+1.7程度と速報値の+1.5より上方修正となろう。また、一致DIでは所定外労働時間指数がプラス符号で加わることになるため、他の指標の符号が不変なら、33.3%程度と速報値の25.0%から上方修正になると予測する。

●5月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。このうち消費者態度指数、日経商品指数の2系列が前月差プラス寄与に、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。4系列の前月差寄与度を合計すると+0.3程度の上昇になっている。

●また、5月分の先行DIでは、数値が判明している4系列のうち、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がプラス符号に、中小企業売上げ見通しDI1系列がマイナス符号になることが判明している。このため5月分先行DI速報値は、33.3%以上88.9%以下が確定している。