ホームマーケット経済指標解説2017年6月分景気動向指数(速報値)

2017年6月分景気動向指数(速報値)

2017年8月7日

-先行CI前月差+1.6、2カ月連続上昇-
-一致CI前月差+1.4、2カ月ぶりの上昇-
-景気の基調判断は9カ月連続で「改善を示している」継続-

●6月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは+1.6と2カ月連続の上昇になった。6月分の先行CIの指数水準は106.3となった。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、日経商品指数の2系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+1.4と2カ月ぶりの上昇になった。最近、前月差は交互に上昇・下降を繰り返しているが、採用系列の生産指数(鉱工業)の影響を受けているとみられる。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、有効求人倍率の5系列が前月差プラス寄与に、商業販売額指数・小売業(▲0.00だが)、商業販売額指数・卸売業の2系列が前月差マイナス寄与になった。

●6月分の一致CIの指数水準は117.2。直近のピークである消費税率引き上げ直前の14年3月分の117.6以来の水準である。直近のピークにあと0.4ポイントに迫る水準になった。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の95.8よりは21.4ポイント高い水準になった。

●一致CIの3カ月後方移動平均は0.93ポイント上昇し、3カ月連続の上昇になった。7カ月後方移動平均は0.37ポイント上昇し、11カ月連続の上昇になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後11月分・12月分・17年1月分・2月分・3月分・4月分・5月分と同じ基調判断だった。今回6月分も「改善を示している」で9カ月連続して最高の判断が続いている。

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲1.04)以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.87)以上」であることが必要だ。

●7月分で、「足踏み」や「下方への局面変化」などになるには、各々▲3.3ポイント以上、▲8.7ポイント以上の前月差大幅な下落幅になることが必要で、にわかに基調判断が下方修正にされる可能性はないだろう。

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は17年3月分で52カ月間の長さになり、戦後3番目の長さであった86年12から始まった「バブル景気」の51カ月を超え、単独3位になった。6月分でさらに長さの記録を伸ばし、55カ月の長さになった。

●今年の11月8日に発表される9月分まで「改善」が続くと、65年11月から始まった「いざなぎ景気」の57カ月を抜き、景気拡張の長さは戦後単独第2位の58カ月となる。

●今回6月分速報値では先行DIは55.6%と景気判断の分岐点の50%を2カ月連続で上回った。また、一致DIは92.9%でこちらも景気判断の分岐点の50%を2カ月ぶり(5月分は50.0%)に上回った。

●6月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は8月10日である。また在庫率関連データなどが8月10日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目されるが、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号は比較対象の5月分のデータからみてプラスの可能性が大きそうだ。先行DIは55.6%から上方修正になり60.0%程度になると見込まれる。

●6月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。確報値の発表日は8月23日である。速報値の寄与は前月差▲0.07程度とみられる。確報値も速報値と同じで、鉱工業生産指数などの確報値も速報値と同じと仮定すると、一致CIは+1.3程度と速報値から下方修正になるものの、「改善」の基調判断は変わらないだろう。また、一致DI上の所定外労働時間指数の速報値段階の符号はマイナスになる。所定外労働時間指数や鉱工業生産指数などの確報値が速報値と同じだとすると、一致DIは速報値の92.9%から81.3%に景気判断の分岐点の50%超ながら下方修正されよう。

●7月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。全系列が前月差プラス寄与になることが判明している。

●また、7月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列でプラス符号は消費者態度指数、日経商品指数DI、東証株価指数の3系列、マイナス符号は、中小企業売上げ見通しDI1系列と判明している。7月分速報値段階の先行DIは33.3%以上88.9%以下が確定している。