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2017年9月分機械受注

2017年11月9日

―9月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲8.1%と3カ月ぶりの減少―
―内閣府の基調判断は2カ月連続で「持ち直しの動きがみられる」―
―7~9月分の機械受注(除船電民需)前期比は+4.7%と3四半期ぶりの増加―
―機械受注(除船電民需)各月比+0.6%なら、10~12月期見通し前期比▲3.5%達成―
―機械受注(除船電民需)10~12月期は過去7年中、6回実績が見通しを上回る―

●9月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲8.1%と3カ月ぶりの減少になった。内訳をみると、製造業の前月比は▲5.1%と3カ月ぶりの減少となった。8月分前月比が+16.1%の大幅増加だった反動の面があろう。非製造業(除船電民需)の前月比は▲11.1%と4カ月ぶりの減少だった。機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲3.5%と2カ月ぶりの減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分・6月分・7月分と0件で、企業行動の慎重さが窺えるような状況であったが、前回8月分は「その他非製造業」の火水力原動機1件があった。「その他非製造業」の前月比は+57.7%の大幅増加になったが、9月分は反動で同▲33.5%になった。今回9月分は「非鉄金属」の原子力原動機1件があった。「非鉄金属」の前月比は+197.3%の大幅増加で、3カ月連続の増加になった。 

●9月分の製造業の前月比は▲5.1%と3カ月ぶりの減少。製造業17業種中、6業種が増加で、減少は11業種だった。9月分製造業の前年同月比は+14.8%と、8月分の同+14.7%に続き二ケタの伸び率で2カ月連続の増加となった。鉱工業生産指数の前年同月比が増加基調を続けている中、製造業の機械受注の基調もしっかりした状況であると言えよう。 

●9月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲11.1%と3カ月ぶりの減少になった。前年同月比は▲13.3%と6カ月ぶりの減少と弱めの基調が続いている。一方、非製造業全体では前月比+0.1%と2カ月ぶりの増加になった。火水力原動機と化学機械の2件の大型案件があった電力業は前月比+62.5%と2カ月連続の増加だったからだ。非製造業12業種中、4業種が増加で8業種が減少となった。 

●大型案件は、前回8月分では「その他非製造業」1件(火水力原動機)、官公需1件(防衛省・航空機)外需3件(火水力原動機、運搬機械、航空機)の合計5件だったが、今回9月分では「非鉄金属」1件(原子力原動機)、非製造業の電力業2件(火水力原動機、化学機械)、官公需1件(国家公務・船舶)外需4件(航空機4件)の合計8件だった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は9月分で前月比▲4.9%と3カ月連続の減少になり、9月分の前年同月比は▲2.2%と8カ月ぶりの減少になった。年前半のしっかりした動きが鈍化してきた感じが気懸かりだ。 

●内閣府の基調判断は、16年9月分で「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正となった。その後16年10月分~17年4月分で据え置きになったが、5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正となり、6月分・7月分と同じ判断となった。前回8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は昨年8月分以来、1年ぶりだった。今回9月分でも基調判断は「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。7~9月期でみると機械受注(除船電民需)の前期比は+4.7%と3四半期ぶりの増加になったことなどを考慮しているとみられる。 

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲3.5%の減少である。過去3四半期の達成率平均は99.6%で単純集計値とそれほど変わらない数字である。なお、過去3四半期の達成率平均を、製造業・非製造業(除船電民需)で分けてみると、製造業は95.7%、非製造業(除船電民需)は103.0%と大きく異なる。製造業は7~9月期の達成率は104.6%と高いが、1~3月期の低い達成率84.7%に引っ張られた感が強い。製造業の見通し前期比▲9.4%は上振れになる可能性が大きいと思われる。 

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは、10年(平成22年)からの7年間で12年(平成24年)の1回だけ下振れで、残り7回は上振れた。

●機械受注(除船電民需)の10月から12月の各前月比が0%なら、10~12月期の前期比実績は▲4.5%の減少になる。10月から12月の各前月比が+2.4%の増加なら、10~12月期の前期比実績は0.0%の横這いになる。10~12月期の前期比の実績が、見通しの▲3.5%を達成するには、10月から12月の各前月比が+0.6%の伸び率が必要だ。 

●9月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は▲0.24程度になるとみた。10日の10月分マネーストックで9月分の改定があるか、また在庫率関連データなどが11月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目されるが、先行CIの前月差は▲0.6だった速報値から▲0.8程度に下方修正されると暫定的に予測する。在庫率関連データなどの確報値が速報値と同じだとすると、実質機械受注(製造業)はプラス符号で加わるので、先行DIは速報値の66.7%から70.0%に上方修正されよう。先行DI改定値が、3カ月連続で景気判断の分岐点である50%超であることには変化はないだろう。