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2017年10月分機械受注

2017年12月13日

―10月分の機械受注(除船電民需)前月比は+5.0%と2カ月ぶりの増加―
―内閣府の基調判断は3カ月連続で「持ち直しの動きがみられる」―
―機械受注(除船電民需)11・12月各前月比▲3.8%で10~12月期見通し前期比▲3.5%達成―
―10~12月期は過去7年中、6回実績が見通しを上回るが、今年もこのパターン踏襲か―

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+5.0%と2カ月ぶりの増加になった。内訳をみると、製造業の前月比は+7.4%と2カ月ぶりの増加となった。非製造業(除船電民需)の前月比は+1.1%と2カ月ぶりの増加となった。機械受注(除船電民需)の前年同月比は+2.3%と2カ月ぶりの増加になった。 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分・6月分・7月分と0件で、企業行動の慎重さが窺えるような状況であったが、8月分は「その他非製造業」の火水力原動機1件があった。「その他非製造業」の8月分前月比は+57.7%の大幅増加になったが、9月分は反動で同▲33.5%になった。10月分は同+1.6%の増加だ。前回9月分は「非鉄金属」の原子力原動機1件があった。「非鉄金属」の9月分前月比は+197.3%の大幅増加で、3カ月連続の増加になったが、10月分は反動で同▲76.7%になった。 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、今回10月分は「化学工業」の化学機械1件があった。「化学工業」の前月比は2カ月ぶりの増加で+82.1%の大幅な伸び率になった。 

●10月分の製造業の前月比は+7.4%と2カ月ぶりの増加。製造業17業種中、12業種と幅広い業種で増加した。減少は5業種だった。製造業の10~12月期の見通し・前期比は▲9.4%の大幅減少となっているが、仮に11月分・12月分が2カ月連続前月比横這いなら10~12月期の前期比は+8.9%の増加となる。実際には工作機械の動向などからみて11月分の前月比は減少の可能性もあるが、それでも製造業の実績は見通しを上回りそうだ。製造業の機械受注の基調はしっかりした状況にあると言えよう。 

●10月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+1.1%と2カ月ぶりの増加になった。前年同月比でみると、10月分は▲13.9%で7カ月連続の減少と弱めの基調が続いている。一方、化学機械1件の大型案件があった電力業は前月比+0.2%と3カ月連続の増加だったにもかかわらず、非製造業全体では前月比▲1.3%と2カ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。 

●大型案件は、前回9月分では「非鉄金属」1件(原子力原動機)、非製造業の電力業2件(火水力原動機、化学機械)、官公需1件(国家公務・船舶)、外需4件(航空機4件)の合計8件あったが、今回10月分では「化学工業」1件(化学機械)、非製造業の電力業1件(化学機械)、外需1件(航空機)の合計3件にとどまった。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は10月分で前月比▲0.2%と4カ月連続の減少になったが、10月分の前年同月比は+7.5%と2カ月ぶりの増加になった。 

●内閣府の基調判断は、16年9月分で「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正となった。その後16年10月分~17年4月分で据え置きになったが、17年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正となり、6月分・7月分と同じ判断となった。前回8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は16年8月分以来、1年ぶりだった。9月分・10月分でも基調判断は「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。

●内閣府の基調判断で、今回の3カ月連続のように「持ち直しの動き」が連続して使われているのは、16年7月分・8月分の2カ月連続以来だ。なお、最近で実質的に「持ち直しの動き」が連続して長く使われたのは15年10月分~16年4月分までの7カ月間だ。 

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲3.5%の減少である。10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは、10年(平成22年)からの7年間で12年(平成24年)の1回だけ下振れで、残り6回は上振れた。 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比の実績が、見通しの▲3.5%を達成するには、11月と12月の各前月比は▲3.8%の伸び率で十分だ。11月・12月の各前月比が0%なら、10~12月期の前期比実績は+0.3%の増加になる。今年も実績が見通しを上回るパターンを踏襲しそうだ。 

●10月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.26程度になるとみた。在庫率関連データが12月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目されるが、先行CIの前月差は▲0.4だった速報値から▲0.1程度に上方修正されると暫定的に予測する。在庫率関連データなどの確報値が速報値と同じだとすると、実質機械受注(製造業)はプラス符号で加わるので、先行DIは速報値の72.2%から75.0%に上方修正されよう。先行DI改定値が、4カ月連続で景気判断の分岐点である50%超であることには変化はないだろう。