ホームマーケット経済指標解説2018年2月分景気動向指数(速報値)

2018年2月分景気動向指数(速報値)

2018年4月6日

-先行CI前月差+0.2と3カ月ぶり上昇、一致CI前月差+0.7と2カ月ぶり上昇-
-先行DI・11.1、一致DI・28.6と、どちらも景気判断の分岐点の50割れに-
-基調判断17カ月連続「改善」継続、一致CI前月差上昇なら3月分も「改善」に-

●2月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+0.2と3カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数の4系列が前月差プラス寄与に、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+0.7と2カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業の4系列が前月差プラス寄与に、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列が前月差マイナス寄与になった。 

●2月分の一致CIの指数水準は115.6になった。これは18年1月分の114.9から上昇し、17年5月分の115.6以来の水準になった。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は▲0.70ポイント低下し、2カ月連続の下降になった。2カ月合計のマイナス幅は▲1.20と振幅目安の▲1.04(1標準偏差分)を上回るマイナス幅になった。一致CIの前月差が上昇なので「足踏み」にはならなかった。7カ月後方移動平均は+0.02ポイント上昇し、2カ月ぶりの上昇になった。但し、マイナス幅は、ともに振幅目安の1標準偏差分には届かなかった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年1月分まで同じ基調判断だった。今回18年2月分も「改善を示している」で、17カ月連続して最高の判断が続いている。 

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は18年2月分で63カ月となり、戦後最長の「いざなみ景気」の73カ月に次ぐ、戦後2番目の長さの景気拡張局面を続けている。 

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が振幅目安の1標準偏差分(▲1.04)以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.87)以上」であることが必要だ。

●3月分で「足踏み」への下方修正になるには、まず3月分一致CIが前月差下降となることが条件だが、3月分の製造工業生産予測指数が前月比+0.9%、経産省の試算値・最頻値が+0.5%の増加なので、その可能性は小さいだろう。ただ、過去の数字が変わらないとした場合、3月分一致CIの前月差が▲0.1でも下降になれば、3カ月後方移動平均の前月差が▲1.40になってしまい、振幅目安の1標準偏差分(▲1.04)以上のマイナス幅を満たし、「足踏み」への下方修正となる。 

●過去の数字が変わらないとして、一致CI3月分が前月差▲2.8以上のマイナス幅の下降になると、7カ月後方移動平均の前月差・3月分の3カ月の累積が▲0.87と1標準偏差分(▲0.87)以上と「下方への局面変化」に悪化するが、その可能性はまずないとみられる。予断を持つことなく採用系列の発表を待ちたい。

●今回2月分速報値では、先行DIは11.1%と景気判断の分岐点の50%を8カ月ぶりに下回った。11.1%は消費税引き上げ直後の14年4月分・5月分の9.1%以来の低水準である。また、一致DIは28.6%で、こちらは景気判断の分岐点の50%を7カ月ぶりに下回った。16年2月分の22.2%以来の低水準である。一時的とはみられるが、かなり弱い数字となった。 

●2月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は4月11日である。また在庫率関連データなどが4月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●2月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値段階の前月差寄与度は+0.40、DIの符号はマイナスである。改定値では確報値の数字が使われるが確報値の発表日は4月20日であるのでどう修正されるか注目される。また、生産指数関連データなどの4月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●3月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列である。中小企業売上げ見通しDI1系列が前月差プラス寄与に、日経商品指数、東証株価指数の2系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。 

●また、3月分の先行DIでは、数値が判明している日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列の中で、中小企業売上げ見通しDI1系列がプラス符号に、日経商品指数、東証株価指数の2系列がマイナス符号になることが判明している。3月分速報値段階の先行DIは11.1%以上77.8%以下が確定している。