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2018年3月分機械受注

2018年5月17日

―3月分機械受注(除船電民需)前月比は▲3.9%と1~2月分の反動で3カ月ぶり減少―
―機械受注(除船電民需)1~3月期前期比は減少見通し覆し+3.3%の増加に―
―内閣府の基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置き―
―機械受注(除船電民需)4~6月期前期比見通し+7.1%、多少下振れても実績は増加か―

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲3.9%と3カ月ぶりの減少になった。1月分・2月分の増加の反動である。内訳をみると、製造業の前月比は▲17.5%と2ケタの減少になった。3カ月ぶりの減少だ。非製造業(除船電民需)の前月比は+2.2%と3カ月連続の増加(2月分は前月比+0.0%の微増)になった。機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲2.4%と3カ月ぶりの減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分・6月分・7月分と0件で、企業行動の慎重さが窺えるような状況であったが、8月分は「その他非製造業」の火水力原動機、9月分は「非鉄金属」の原子力原動機、10月分では「化学工業」の化学機械、11月分は「卸売業・小売業」の運搬機械と各々1件だった。その後12月分・1月分は0件だった。1月分まで17年度は0件か1件と少ないペースで推移してきた。 

●しかし、前回2月分では機械受注(除船電民需)の大型案件が3件に増えた。内訳は、「化学工業」の化学機械、「造船業」の内燃機関、「その他非製造業」の火水力原動機であった。 

●今回3月分では機械受注(除船電民需)の大型案件が5件に増えた。内訳は、「化学工業」の化学機械1件、「運輸業・郵便業」の通信機1件、「その他非製造業」の航空機3件である。 

●3月分の製造業の前月比は▲17.5%と3カ月ぶりの減少。製造業17業種中、5業種で増加し、減少は12業種だった。しかし、製造業の1~3月期・前期比は+2.5%で4四半期連続の増加。4~6月期も前期比+9.9%の増加見通しだ。製造業の機械受注の基調はしっかりした状況にあると言えよう。 

●3月分の製造業の前月比が大幅減少になったことで、景気動向指数・確報値での先行CI前月差は、速報値の▲0.9%から▲1%台半ばに下方修正、先行DIは16.7%から15.0%に下方修正されるとみられる。

●日銀短観3月調査で、製造業の18年度の設備投資計画は大企業で+4.9%、中堅企業で+15.6%、中小企業で▲0.1%と、この時期としてはかなりしっかりした数字となっていたが、最近の機械受注の動きは日銀短観と整合的だ。 

●一方、3月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIが53.1(コメントしたウォッチャー数:8人)なのに対し、設備投資関連・先行き判断DIが45.8(同12人)と景気判断の分岐点の50割れとなっており、先行きの不透明さが、折角良くなってきた機械受注、設備投資の動きを妨げないか懸念されていた。しかし、4月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIが61.4(同8人)、設備投資関連・先行き判断DIが63.9(同9人)となった。どちらも60台としっかりした数字である。 

●3月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+2.2%と3カ月連続の増加になった。但し、前年同月比でみると、3月分は▲4.9%で12カ月連続の減少と弱めの状況が続いている。電力業の2月分は大型案件が4件で前月比+37.4%の増加となったが、3月分は大型案件が2件にとどまり前月比▲62.1%の減少となった。このため非製造業全体では前月比▲20.0%で、こちらは2カ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

●大型案件は、前回2月分では合計10件であった。内訳をみると、民需は前述した「除船電民需」の3件以外は電力業の4件(火水力原動機3件、その他重電機1件)だった。官公需は防衛省の船舶、外需は2件(電子計算機等、航空機各1件)であった。今回3月分では合計20件に増えた。内訳をみると、民需は前述した「除船電民需」の5件以外は電力業の2件(原子力原動機、その他重電機各1件)だった。官公需は全部で5件。内訳は、防衛省の航空機2件、船舶1件の計3件、国家公務のその他産業機械1件、船舶1件の計2件、外需は8件(火水力原動機1件、発電機1件、鉄道車両1件、航空機3件、電子計算機等2件)であった。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は3月分で前月比+9.3%と2カ月連続の増加になった。前年同月比は+3.8%と2カ月ぶりの増加になった。

●内閣府の基調判断は、17年8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が上方修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は16年8月分以来、1年ぶりだった。9月分・10月分に続き、11月分でも基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」で実質的に判断据え置きとなった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」以来であった。18年1月分と2月分では基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。今回3月分でも基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きである。 

●機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比見通しは+7.1%。4~6月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの9年間で上振れ4回、下振れ5回とほぼ同じになっている。18年(平成30年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率102.2をかけたものである。4~6月期の前期比実績は見通しよりも多少下振れる可能性もあるが、それでも前期比で増加する可能性が大きそうだ。