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2018年3月調査 日銀短観 予測

2018年3月20日

―大企業・製造業・業況判断DI+24程度ともたつくが20期連続「良い」超に―
―今回の調査は、一服感あるものの景気拡張継続を裏付ける内容に―

●3月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+24程度と12月調査(旧)の+25から1ポイント程度低下、12月調査(定例見直し後・新)の+26から2ポイント程度低下するとみた。但し、13年6月調査以降20期連続して「良い」超のプラスになるとみた。足元、円高の影響や原材料高の影響などで一服感はあるものの、息の長い緩やかな景気拡張局面が継続していることを示唆する数字となろう。 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+23程度とこちらは12月調査(旧)の+23と同程度になると予測する。12月調査(定例見直し後・新)の+25からは2ポイント程度低下するとみた。非製造業は11年9月調査以降27期連続で「良い」超のプラスになろう。なお、今回の連続プラスの期間の最高水準は15年9月調査・12月調査・17年12月調査(新)の+25である。この水準には、あと2ポイント程度届かないと予測する。 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(3月調査)やロイター短観(3月調査)などを参考にした。

●3月15日に発表されたQUICK短観3月調査の調査期間は3月1日から3月12日である。製造業の業況判断DIは12月調査の+36から1ポイント低下の+35となった。また、非製造業DIは12月調査の+40と同じ+40となった。

●3月20日に発表されたロイター短観3月調査の調査期間は3月1日から3月15日である。400社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査の+27から1ポイント上昇の+28となった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査の+30から3ポイント低下の+27となった。 

●また、3月調査400社ベースの非製造業DIは12月調査の+34から1ポイント上昇の+35となった。+35は15年6月調査の+36に次ぐ統計史上2番目の高水準だ。一方、200社ベースの非製造業の業況判断DIは12月調査の+38から4ポイント低下の+34となった。

●大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+24程度なら、12月調査の「先行き見通し」(旧)+19を5ポイント、12月調査の「先行き見通し」(新)+21を3ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が予測通り+23程度なら、12月調査の「先行き見通し」(旧・新とも同じ)+20を3ポイント上回ることになる。足元の景況感は前回調査からもたついた動きになっても、前回調査時の先行き予想より製造業、非製造業ともに上振れることとなろう。 

●QUICK短観3月調査の製造業の6月までの「先行き見通し」は+37で3月実績の+35より2ポイント上昇の予想、非製造業の6月までの「先行き見通し」は+39で3月実績の+40から1ポイントの低下予想である。 

●一方、ロイター短観3月調査の6月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+25と3月実績の+28から3ポイント低下見込み、製造業・200社ベースで+22と3月実績の+27から4ポイント低下見込み、非製造業・400社ベースの6月までの「先行き見通し」は+29と、3月実績の+35から6ポイントの低下予想、非製造業・200社ベースの6月までの「先行き見通し」は+23と、3月実績の+34から11ポイントの低下予想である。 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの6月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で3月実績比2ポイント低下の+22程度、非製造業は3月実績比3ポイント低下の+20程度と予測した。 

●3月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が+11程度と12月調査(旧・新とも同じ)の+15から4ポイント程度低下すると予測した。非製造業は12月調査(旧・新とも同じ)の+9から5ポイント程度低下し+4程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。 

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(+1)でみると、この3月調査で18期連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は87年9月調査から92年6月調査の20期連続以来でバブル期以来のことになる。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの良さが、好調な雇用状況につながっていよう。 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が12月調査57.8、1月調査53.3、2月調査52.5と景気判断分岐点の50を上回るものの、鈍化傾向にある。また、非製造業は12月調査56.8、1月調査54.6、2月調査51.4となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが+11程度と予測通りなら、12月調査の「先行き見通し」(旧・新とも同じ)の11と同水準になる。また中小企業・非製造業が+4程度と予測通りなら、12月調査の「先行き見通し」(旧)+5を1ポイント下回り、(新)+4とでは事前の予想通りとなる。足元の景況感が製造業では事前の予想通り、非製造業では事前の予想通りかやや下振れとなろう。 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの6月までの「先行き見通し」は、景気の先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で3月実績比5ポイント悪化の+6程度、非製造業は3月実績比4ポイント悪化の0程度と予測した。非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセを考慮した。 

●2017年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+6.0%程度と、12月調査(旧)の同+7.4%、12月調査(新)の同+6.4%から下方修正されると予測した。また、2018年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+0.1%程度と予測した。過去の修正パターンや、最近の設備投資計画調査などを参考にした。 

●2017年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲3.7%程度と、12月調査(旧)の同▲6.4%、12月調査(新)の同▲6.3%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。また、2018年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲19.4%程度と予測した。

<3月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

         3月製造業DI                         +24
       3月非製造業DI                          +23
         6月製造業DI                         +22
         6月非製造業DI                          +20
         2017年度設備投資計画(全産業)前年度比  +6.0%
     2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  +0.1%     

2)中小企業

        3月製造業DI                         +11
        3月非製造業DI                         +4
        6月製造業DI                          +6
        6月非製造業DI                          0
      2017年度設備投資計画(全産業)前年度比   ▲3.7%
      2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  ▲19.4%