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2018年5月分機械受注

2018年7月11日

―5月分機械受注(除船電民需)前月比▲3.7%と反動減は予想外に小幅に―
―5月分内訳は、製造業前月比+1.3%、非製造業前月比+0.2%と両方増加―
―4~6月期前期比見通し+7.1%は、6月分前月比+5.3%で達成―
―内閣府基調判断は「機械受注は、持ち直している」据え置き。しっかりした内容―

●5月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲3.7%と2カ月ぶりの減少になった。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+16.5%と2カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回4月分では「造船業」の内燃機関の1件だった。今回5月分は0件だった。予想より小幅な減少だった前月比は大型案件が多かったためではない。 

●5月分の製造業の前月比は+1.3%と2カ月連続の増加。製造業17業種中、5業種で増加し、減少は12業種だった。 

●5月分の実質機械受注・製造業の前月比が増加になったことで、景気動向指数・確報値での先行CI前月差は、速報値の+0.7から現状では+0.8程度に上方修正される可能性が大きくなった。先行DIは、実質機械受注・製造業がプラス符号で新たに加わるので、他の系列の符号が速報値段階と変わらなければ、83.3%から94.4%に上方修正されるとみられる。 

●5月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+0.2%と製造業に比べ低めの伸び率ながら5カ月連続の増加になった。5月分前年同月比は+8.4%で14カ月ぶりにマイナスを脱し増加に転じた。電力業の5月分は大型案件が内燃機関1件あり、前月比+94.4%と大幅増加だった4月分のあと、5月分も前月比+9.9%と増加となったため非製造業全体では前月比+8.2%で、こちらは2カ月連続の増加になった。非製造業12業種中、8業種が増加で4業種が減少となった。 

●大型案件は、前回4月分では合計4件だった。内訳をみると、民需は前述した「除船電民需」の1件以外は電力業の1件(発電機)。外需は2件(火水力原動機1件、航空機1件)であった。今回5月分では合計4件だった。内訳をみると、民需は電力業の1件(内燃機関)。外需は3件(電子計算機類1件、化学機械1件、航空機1件)であった。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は5月分で前月比+5.5%と2カ月ぶりの増加となった。前年同月比は+7.3%と4月分の+5.7%から伸び率が高まり、3カ月連続の増加になった。 

●外需は5月分で前月比+1.8%と2カ月連続の増加となった。前年同月比は+11.6%としっかりした増加が続いていて、先行きの機械の輸出が堅調なことを示唆していそうだ。 

●内閣府の基調判断は、17年8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が上方修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は16年8月分以来、1年ぶりだった。9月分・10月分に続き、11月分でも基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」で実質的に判断据え置きとなった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」以来であった。

●18年1月分~3月分では基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。前回4月分では基調判断は「機械受注は、持ち直している」に8カ月ぶりに判断が上方修正された。今回5月分では基調判断は「機械受注は、持ち直している」で据え置きになった。 

●機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比見通しは+7.1%。4~6月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの9年間で上振れ4回、下振れ5回とほぼ同じになっている。18年(平成30年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率102.2をかけたものである。4~6月期の前期比実績は見通しよりも多少下振れる可能性もあるが、それでも前期比で増加する可能性が大きそうだ。 

●6月分の前月比が+5.3%となると、機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比は見通しと同じ+7.1%になる。6月分の前月比が0.0%とすると、機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比は+5.3になる。弱めに試算しても、4~6月期の前期比は増加する可能性が大きそうだ。 

●日銀短観6月調査で、GDPの設備投資の概念に近い「ソフトウェア・研究開発を含み土地投資額を除くベースの全産業・全規模の設備投資」の2018年度計画・前年度比は、大企業・全産業で+11.0%。一方、18年度の中小企業・全産業で▲4.7%。18年度の全規模・全産業では+9.1%になった。6月時点としてはかなりしっかりした数字となっていた。日銀短観の計画は最近の機械受注の動きと整合的だ。

●3月分の景気ウォッチャー調査・設備投資関連・現状判断DIを計算してみると、53.1(コメントしたウォッチャー数:8人)なのに対し、設備投資関連・先行き判断DIが45.8(同12人)と景気判断の分岐点の50割れとなっており、先行きの不透明さが、折角良くなってきた機械受注、設備投資の動きを妨げないか懸念されていた。しかし、4月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIが61.4(同8人)、設備投資関連・先行き判断DIが63.9(同9人)となった。さらに5月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは50.0(同12人)だが、設備投資関連・先行き判断DIが65.6(同8人)となった。先行き判断DIは4月分・5月分どちらも60台としっかりした数字である。景気ウォッチャー調査の設備投資関連・先行き判断DIの動向も、最近の機械受注の動きと整合的だ。