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ホーム > お役立ち情報 > レポート・コラム > アジア拠点最新レポート > 第7回 東京レポート アジア経済成長の隠れた牽引役、オーストラリア
今年は日豪通商協定締結50周年に当る節目の年であり、またオーストラリアにとってはAPEC(アジア太平洋経済協力)主催国という重要な年でした。元々日本とオーストラリアはアジア環太平洋において政治・経済双方の面で極めて重要な関係にありますが、近年アジア経済成長の隠れた牽引役として、域内におけるオーストラリアの重要性はますます高まっていると考えられます。
まずはオーストラリアの経済動向を見てみましょう。オーストラリアは過去16年にわたってプラスの経済成長を続けており、現在も良好な経済環境にあります。また本格的に財政再建に取り組んだことから、足元では先進国では数少ない財政黒字国となっております(図1)。規制緩和の進展、柔軟な金融政策、安定した政権基盤などが良好な経済成長の要因と考えられますが、豊富な資源埋蔵量を背景としたアジア地域との結びつき強化もオーストラリアの経済発展にとって無視出来ない要因と考えられます。07年度(9月末)の時点でオーストラリアの総輸出の約57%がアジア向けとなっております(図2)。
それでは具体的にオーストラリアとアジア各国との経済的な繋がりは如何なる状況にあるのでしょうか。まずは日本です。
日本とオーストラリアは長期にわたりアジア太平洋における重要な経済パートナーであり、オーストラリアにとって日本は引続き最大の貿易相手国です。日本は鉄鉱石や石炭といった資源、小麦や牛肉などの食糧のうち多くをオーストラリアから輸入しています。オーストラリア大使館資料によると、日本でうどんに使われる原料小麦の約50%がオーストラリア産であり、ここ2年オーストラリアの干ばつの悪影響により多くの讃岐うどん店が苦境に陥るなど、日常生活の思わぬところでオーストラリアの影響の大きさが伺い知れます。一方、日本はオーストラリアに自動車・機械などを輸出しています。オーストラリアでは二人に一人が日本車を運転するなど、日本にとって海外で2番目に大きな自動車市場となっております。こうした意味で両国は強い相互補完的な関係にあると言えます。
中国は近年、堅調な国内景気拡大を背景にオーストラリアからの資源輸入を大幅に拡大しています。オーストラリアにとって輸出額/成長率双方の観点で、中国は極めて重要な国となっております。特に鉄鉱石、銅鉱石など中国が多くを輸入に依存する資源について、オーストラリアは極めて重要な供給者です。中国では昨年の粗鋼生産量は前年比18%増の約4億1900万トンに拡大しており、今後も旺盛なインフラ・建設投資を背景として高成長が続くと見られています。現在、中国が必要とする鉄鉱石の約6割は海外からの輸入に頼っており、その4割程度はオーストラリア産となっております。オーストラリア産鉄鉱石は高品質であり、かつ中国とオーストラリアは地理的に比較的近く輸送費用が相対的に割安であることから、今後もオーストラリア産の鉄鉱石の需要は高まると見られます。鉄鋼用原料炭、銅鉱石、などについても概ね同様な傾向が見られ、今後とも双方の経済的重要性はますます増加する方向にあると考えられます。既に中鋼集団がミッドウェスト社と鉄鉱石鉱山開発で提携、中国中信集団が石炭のマッカーサーコール社に19.9%出資するなど、資源獲得を目指して中国企業がオーストラリアに進出する動きも散見されます。(図3)
その他では韓国は日本・中国に次ぐオーストラリアにとって世界第3位の輸出相手国であり、米国をも上回る重要性を持っております。また、インドは輸出相手国では第6位に過ぎませんが、過去5年平均で年率30%を超える高成長を遂げており、オーストラリアにとって最も高い輸出の伸びを示している市場となっております。他にも、台湾、タイ、シンガポールなどオーストラリアの輸出相手国(地域)上位10ヵ国(地域)のうち第7位までがアジアの国(地域)で占められております。
アジアの高成長は今後も中長期的に持続すると考えられますが、その成長を支えるための資源の確保が不可欠と考えられます。オーストラリアでは逼迫する資源開発・輸送に関するインフラに対する投資の動きも活発化しており、中長期的にアジアの需要拡大への対処がなされると見込まれます。また、積極的な投資拡大が堅調なオーストラリアの国内景気の牽引役を果たすと見られます。一方、地球温暖化防止に対する意識が高まる中で、環境に配慮した鉱山開発・生産拡大の動きがますます進むと予想されます。アジアの成長性の恩恵を受ける先進国市場としてオーストラリアは極めてユニークな位置付けにあり、ますます魅力を増す市場と言えるでしょう。
米国株式、アジア株式、欧州株式・社債クレジット、など外国資産一筋14年の運用経験を持ちます。97年~98年にかけてサンフランシスコ、00年~07年春までのロンドン駐在により身に着けた国際感覚で、直接取材に基づいた分析を得意としています。 学生時代サイクリストとしてテント・鍋を積んで全国各地を自転車で走破。自称“走るファンドマネジャー”。
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