経済指標解説
12月分「景気動向指数」(速報値)について
02月05日午後2時現在
-先行CI前月差+3.0、10カ月連続上昇、一致CI前月差+1.6、9カ月連続上昇-
-基調判断は「改善」継続-
-2/18発表の12月分改定値でHDIからみて景気の谷は09年3月であることがほぼ確実に-
●12月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月と比較して+3.0ポイント上昇した。一方、一致CIは前月と比較して+1.6ポイントの上昇になった。
●内閣府の一致CIを使った景気の基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している」と据え置きだった。
●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+1.47と8カ月連続1標準偏差分を上回る大幅上昇で、「3カ月後方移動平均の前月差が3カ月連続で上昇」という、基調判断表の「改善」の基準を十分満たしている。
●先行CIは今回12月分で、10カ月連続の上昇になった。86年11月分から87年11月分に記録した13カ月連続以来である。景気の先行きに関する明るい材料である。先行CIでは速報値からデータが利用可能な10系列のうち、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、耐久消費財出荷指数、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの9系列が前月差プラス寄与の系列、消費者態度指数1系列が前月差マイナス寄与の系列だった。
●また、一致CIは今回12月分で、9カ月連続の上昇になった。9カ月連続の上昇は96年2月から97年1月にかけての12カ月連続以来である。一致CIでは速報値からデータが利用可能な9系列のうち、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、所定外労働時間指数、投資財出荷指数、商業販売額(小売業)、商業販売額(卸売業)、中小企業売上高、有効求人倍率の8系列が前月差プラス寄与の系列、大口電力使用量1系列が前月差マイナス寄与の系列になった。一致CIは、現状が景気拡張局面の可能性が大きいことを裏付ける内容だ。2月2日発表の所定外労働時間指数は前月比+4.8%と大幅に伸びた。先週末(1月29日)時点の一致CIの予測値を大きく上回った主因である。
●参考系列の12月分のDIでは、先行DIが80.0%、一致DIが100.0%になった。一致DIが3カ月連続100.0になったが、これは96年10月から97年1月までの4カ月連続以来である。全ての一致指数採用系列が3カ月前に比べ改善していることを意味する。景気回復が幅広い分野に広がっていることを裏付ける数字と言えよう。
●先行DIは景気判断の分岐点の50%を8カ月連続で上回った。8カ月連続しての50%超は05年6月から06年6月の13カ月連続以来である。また、一致DIも8カ月連続で景気判断の分岐点の50%を上回った。こちらの8カ月連続しての50%超は07年4月から07年12月の9カ月連続以来である。
●12月分景気動向指数・CI改定値で、新たに改定値から加わる系列としては、一致系列では稼働率指数があるが、前月差では+0.16程度の寄与度になるとみた。速報値から確報値になった時に大幅に修正される系列が出ない限りは、一致CIの前月差は+1.6程度で速報値の予測値+1.6と同じになるとみた。内閣府の一致CIを使った景気の基調判断は12月改定分でも「改善」になろう。参考系列の一致DIでは稼働率指数はプラス符号になるとみられるので、100.0%程度で不変と予測する。
●一方、先行系列では、新たに改定値から加わる系列としては実質機械受注があるが、前月差では+0.33程度の寄与度になるとみた。先行CIは+3.0程度で速報値の予測値+3.0と同じになるとみた。また、先行DIは実質機械受注がマイナス符号で加わるとみられ、こちらは速報段階の80.0%から72.7%程度へ下方修正されると予測する。
●今回12月速報値段階で、ブライ・ボッシャン法により一致系列採用指標で谷の時期が確定したものを挙げると、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、商業販売額(小売業)の3系列が09年2月、大口電力使用量、所定外労働時間指数の2系列が09年3月である。2月18日に発表される12月改定値段階で稼働率指数が09年2月に谷をつけたことがブライ・ボッシャン法で確認される。残りの系列をみると営業利益などが09年3月が谷とやがて判定されようが、09年2月以前に谷をつけたとみられる系列は他に見当たらない。このためHDIが50%を上回るのは09年4月となり景気の谷は09年3月であることが2月18日時点のデータからは確定しよう(もちろん4月の生産関連指数の年間補正などを確認する必要があることは言うまでもないが)。景気動向指数研究会の開催は前回開催の09年7月の半年後に当たる10年1月にはなかった。現時点で開催予定はないようだが、景気の谷の正式決定時期がいつかをみる上で、景気動向指数研究会の開催時期は要注目だ。
●1月分の先行CIの採用系列では、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は各々前月差寄与度が+1.51程度、+0.16程度、+0.69程度、▲0.31程度の寄与度になることがこれまでのところ判明している。4系列分の寄与度の合計では前月差+2.05程度になる。このため1月分の先行CIの前月差は今後の他の採用系列の出方次第だが、86年11月分から87年11月分の13カ月連続以来の11カ月連続前月差上昇になる可能性がかなり大きい状況だ。一方、一致CIは生産予測指数の動向などから見て、96年2月分から97年1月分の12カ月連続以来の10カ月連続しての前月差上昇になるとみられる。
●また、1月分の先行DIでは、日経商品指数、東証株価指数の2系列のプラス符号と、長短金利差、中小企業売上げ見通しDIの2系列のマイナス符号が現時点で判明している。1月分先行DI速報値は、20.0%以上80.0%以下が確定している。
宅森昭吉(たくもりあきよし)
当社チーフエコノミスト

- 著書
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:「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社、1988/12)
「日本経済「悲観神話」はもういらない」(中央公論新社、2003/04) - その他
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:総務庁統計局「個人消費動向の的確な把握のための検討会」委員
経済企画庁「動向把握早期化委員会」委員などを歴任。
現在、経済企画協会「ESP景気フォーキャスト調査委員会」委員、
内閣府「景気ウォッチャー調査研究会」委員
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