経済指標解説
4月分「家計調査・完全失業率・全国消費者物価指数」等について
05月28日午後1時現在

4月分の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出は前年同月比▲0.7%と2カ月ぶりの減少になった。実質で前年同月比減少に寄与した項目をみると、国内パック旅行費・海外パック旅行費、自動車購入など3月分では増加に寄与したものが多く、3月分と均してみたほうがよいと思われる。薄型テレビの家電エコポイント対象商品の変更による3月の駆け込み需要の反動によりテレビの寄与度は鈍化した。天候不順で野菜が高かったため、実質ベースではきゅうり・トマトなどが前年同月比減少に寄与した。実質消費支出(除く住居等)は4月分の対1~3月平均比は▲2.8%の減少である。二人以上世帯のうち勤労者世帯は前年同月比▲1.5%と9カ月ぶりの減少になった。4月分の家計調査は弱めの数字となった。

4月分の完全失業率は5.1%と、3月分の5.0%から悪化した。4月分の季節調整値は5.1471%だった。4月は女性の失業者が増加した。完全失業者の求職理由をみると「勤め先都合」は前年同月差7万人減少と18カ月ぶりに減少した。一方「新たに収入が必要」が前年同月差7万人、「その他」が前年同月差5万人増加した。景気が良くなってきたと感じ職探しをする人が多くなると景気の遅行指標の完全失業率の一時的な上昇圧力になるが、現在がその局面のようだ。なおデフレ傾向が続く中では景気の遅行指標である完全失業率が大きく改善するのはまだ先のことになりそうだということが、全国消費者物価数前年比との関係を示す「フィリップス曲線」を描いてみるとわかる。

4月分有効求人倍率は0.48倍と、3月分の0.49倍から8カ月ぶりに悪化してしまった。有効求人が前月比▲1.0%の減少、有効求職が前月比▲0.5%の減少だった。もっとも有効求人倍率の小数点第3位を見れば3月分の0.485倍から3月分の0.483倍へと若干悪化したにすぎない。もっとも0.48倍という水準は二人に1つも職がないという、大変厳しい雇用環境を示すものである。有効求人倍率に対し先行性がある景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状判断DI(水準ベース)は08年12月分の7.9を底に概ね上昇傾向で、10年4月分37.6まで改善してきている。また、新規求人倍率10年4月分は0.88倍と3月分の0.84倍から改善していることなどから、有効求人倍率の改善基調は崩れていないが4月分では一服したとみられる。
4月分の全国消費者物価指数・総合指数は2005年を100とした指数が99.6となり、前月比横ばい、前年同月比は▲1.2%の下落となった。高校授業料無償化は前年同月比で▲0.54%のマイナス寄与になった。前年同月比は比較可能な1971年以降で最大の下落率だった09年10月分の▲2.5%からみて1.3%ポイントマイナス幅が縮小している。
また、生鮮食品を除く総合指数は99.2となり、前月比▲0.3%の下落、前年同月比は▲1.5%の下落となった。高校授業料無償化は前年同月比でマイナス幅拡大に寄与した。生鮮食品を除く食料の前年同月比下落幅は3月分より縮小した。電気代の下落幅が拡大したものの灯油の上昇幅拡大でエネルギー全体では前年同月比のマイナス幅縮小に寄与した。外国パック旅行も前年同月比でマイナス幅縮小に寄与した。前年同月比▲1.5%の下落は3月分より0.3%マイナス幅が拡大した。高校授業料無償化要因を除くとマイナス幅は0.2%程度縮小したことになる。なお、マイナス幅が1971年以降で最大の下落率であった09年8月分の▲2.4%からみると0.9%ポイント下落率が縮小したことになる。前年同月比は08年7月分・8月分の+2.4%をピークに上昇ペースが大きく鈍化し、デフレギャップを背景に、09年3月分・4月分で前年同月比はともに▲0.1%と、07年9月分(▲0.1%)以来のマイナスに転じ、10年4月分で14カ月連続の前年同月比減少になった。

また、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(通称コアコア)は97.3となり前月比▲0.4%の下落、前年同月比は▲1.6%の下落となった。前年同月比は1971年以降で最大の下落率であった09年12月分・10年1月分の▲1.2%を更新した。
ESPフォーキャスト調査(5月調査:括弧内は前回4月調査)によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、10年4~6月期で▲1.33%(▲1.33%)と1~3月期の▲1.2%に比べマイナス幅が一時的に拡大し、7~9月期▲1.09%(▲1.09%)、10~12月期▲0.75%(▲0.78%)と減少率は縮小するもののマイナスが続く見込みだ。調査期間最後の12年1~3月期も▲0.05%(▲0.12%)とぎりぎりマイナスである。デフレ傾向はしばらく続くというのがコンセンサスになっている。
(5月分の暫定的予測)
5月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は▲1.1%程度と4月分の▲1.2%からマイナス幅縮小になるとみる。生鮮野菜の低下などで、5月分の前月比は▲0.1%程度とみる。
5月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は▲1.3%程度と4月分の▲1.5%からマイナス幅が縮小すると予測する。5月分の前月比は0.0%程度とみる。なお、季節調整値でみた10年5月分全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合は予測通りなら99.2程度になる。09年5月分:100.5、6月分:100.2、7月分:100.0、8月分:99.8、9月分:99.8であることから、前年同月比は当面マイナスであるものの、マイナス幅は緩やかに縮小していくものと予想される。
また、5月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は▲1.6%程度と4月分と同じ史上最大の減少率となるとみる。5月分の前月比は0.0%程度になろう。
関連データである東京都区部(速報)の総合5月分前年同月比は▲1.4%と4月分の▲1.5%から0.1%ポイントマイナス幅が縮小した。5月分の前月比は▲0.1%だ。一方、大阪市の総合5月分前年同月比は▲2.7%で4月分の▲3.1%からマイナス幅が0.3%ポイント縮小した。5月分の前月比は+0.1%だった。
5月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲1.6%で4月分の▲1.9%から0.3%ポイントマイナス幅は縮小した。4月分の前月比は0.0%だ。また、大阪市では5月分の前年同月比▲3.0%で4月分の▲3.3%から0.3%ポイントマイナス幅が縮小した。5月分の前月比は0.0%だった。
東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合5月分前年同月比は▲1.4%と4月分の▲1.4%と同じだった。なお比較可能な1971年以降で最大の下落率は01年3月分の▲1.8%だ。5月分前月比は0.0%だった。一方、大阪市では5月分前年同月比は▲3.7%と4月分の▲3.6%から0.1%ポイントマイナス幅が拡大した。5月分の前月比は▲0.1%だった。
宅森昭吉(たくもりあきよし)
当社チーフエコノミスト

- 著書
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:「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社、1988/12)
「日本経済「悲観神話」はもういらない」(中央公論新社、2003/04) - その他
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:総務庁統計局「個人消費動向の的確な把握のための検討会」委員
経済企画庁「動向把握早期化委員会」委員などを歴任。
現在、経済企画協会「ESP景気フォーキャスト調査委員会」委員、
内閣府「景気ウォッチャー調査研究会」委員
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