経済指標解説
5月分「家計調査・完全失業率・全国消費者物価指数」等について
06月29日午後0時現在

5月分の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出は前年同月比▲0.7%と2カ月連続の減少になった。こづかい、交際費は09年度前半に定額給付金が支給された影響の反動が出たため減少した。また被服、外食などは天候不順が影響したようだ。二人以上世帯のうち勤労者世帯は前年同月比▲2.4%と2カ月連続減少になった。
実質消費支出(除く住居等)の4~5月平均の対1~3月平均比は▲2.4%の減少である。但し、5月分の前月比は+0.9%の増加である。

5月分の完全失業率は5.2%と、4月分の5.1%から悪化した。季節調整値を詳細に見ると、4月分は5.1471%だったが、5月分は5.1777%へと若干悪化した。5月分の完全失業者の求職理由をみると「勤め先都合」は前年同月差7万人減少で、18カ月ぶりに減少した4月分の前年同月差7万人減少と同じだった。一方「収入を得る必要が生じたから」が前年同月差7万人増加、「その他」が前年同月差4万人増加した。景気が良くなってきたと感じ職探しをする人が多くなると景気の遅行指標の完全失業率の一時的な上昇圧力になるが、4・5月分はそうした局面のようだ。なおデフレ傾向が続く中では景気の遅行指標である完全失業率が大きく改善するのはまだ先のことになりそうだということが、全国消費者物価(対前年比)との関係を示す「フィリップス曲線」を描いてみるとわかる。

5月分有効求人倍率は0.50倍と、4月分の0.48倍から2カ月ぶりに改善した。有効求人が前月比+3.5%の増加、有効求職が前月比▲0.2%の減少だった。もっとも0.50倍という水準は二人に1つしか職がないという、大変厳しい雇用環境を示すものである。有効求人倍率に対し先行性がある景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状判断DI(水準ベース)は08年12月分の7.9を底に概ね上昇傾向で、10年5月分の38.4まで改善してきている。有効求人倍率の改善基調は続くとみられる。なお、新規求人倍率10年5月分は0.83倍と4月分の0.88倍から悪化している。
25日に発表された、5月分の全国消費者物価指数・総合指数は2005年を100とした指数が99.7となり、前月比+0.1%の上昇、前年同月比は▲0.9%の下落となった。高校授業料無償化が0.5%程度の下落寄与要因となっている。また、薄型テレビやノート型パソコンなど家電類の価格低下などが下落に寄与している。なお、前年同月比は比較可能な1971年以降で最大の下落率だった09年10月分の▲2.5%からみて1.6%ポイントマイナス幅が縮小している。
また、生鮮食品を除く総合指数は99.3となり、前月比+0.1%の上昇、前年同月比は▲1.2%の下落となった。生鮮食品を除く食料の前年同月比下落幅は4月分より縮小した。灯油やガソリンが上昇したことなどが前年同月比のマイナス幅縮小に寄与した。前年同月比は▲1.5%の下落だった4月分より0.3%マイナス幅が縮小した。なお、マイナス幅が1971年以降で最大の下落率であった09年8月分の▲2.4%からみると1.2%ポイント下落率が縮小したことになる。前年同月比は08年7月分・8月分の+2.4%をピークに上昇ペースが大きく鈍化し、デフレギャップを背景に、09年3月分で前年同月比は▲0.1%と、07年9月分(▲0.1%)以来のマイナスに転じ、その後10年5月分まで15カ月連続の前年同月比減少になった。

また、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(通称コアコア)は97.3となり前月比横ばい、前年同月比は▲1.6%の下落となった。前年同月比は1971年以降で最大の下落率であった10年4月分の▲1.6%と同じであった。
ESPフォーキャスト調査(6月調査:括弧内は前回5月調査)によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、10年4~6月期で▲1.34%(▲1.33%)と1~3月期の▲1.2%に比べマイナス幅が一時的に拡大し、7~9月期▲1.04%(▲1.09%)、10~12月期▲0.69%(▲0.75%)と下落率は縮小するもののマイナスが続く見込みだ。調査期間最後の12年1~3月期では0.00%(▲0.05%)とマイナスからなんとか脱却見込みである。デフレ傾向はしばらく続くというのがコンセンサスになっている。
(6月分の暫定的予測)
6月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は▲1.7%程度と5月分の▲0.9%からマイナス幅縮小になるとみる。6月分の前月比は+0.0%程度とみる。
6月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は▲1.1%程度と5月分の▲1.2%からマイナス幅が若干縮小すると予測する。6月分の前月比は▲0.1%程度とみる。なお、季節調整値でみた10年6月分全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合は予測通りなら99.1程度になる。09年6月分:100.2、7月分:100.0、8月分:99.8、9月分:99.8、10月分:99.7であることから、前年同月比は当面マイナスであるものの、マイナス幅は緩やかに縮小していくものと予想される。
また、6月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は▲1.6%程度と3カ月連続で4・5月分と同じ史上最大の減少率となるとみる。6月分の前月比は▲0.2%程度になろう。
関連データである東京都区部(速報)の総合6月分前年同月比は▲0.9%と5月分の▲1.4%から0.5ポイントマイナス幅が縮小した。6月分の前月比は+0.1%の上昇だ。一方、大阪市の総合6月分前年同月比は▲2.6%で5月分の▲2.6%と同じマイナス幅だった。6月分の前月比は▲0.1%だった。
6月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲1.3%で5月分の▲1.5%から0.2ポイントマイナス幅は縮小した。6月分の前月比は▲0.2%の下落だ。また、大阪市では6月分の前年同月比▲2.8%で5月分の▲2.9%から0.1%ポイントマイナス幅が縮小した。6月分の前月比は▲0.2%だった。
東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合6月分前年同月比は▲1.4%と4・5月分の▲1.4%と3カ月連続で同じだった。なお比較可能な1971年以降で最大の下落率は01年3月分の▲1.8%だ。6月分前月比は▲0.2%の下落だった。一方、大阪市では6月分前年同月比は▲3.7%と5月分の▲3.6%から0.1%ポイントマイナス幅が拡大した。6月分の前月比は▲0.2%だった。
宅森昭吉(たくもりあきよし)
当社チーフエコノミスト

- 著書
-
:「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社、1988/12)
「日本経済「悲観神話」はもういらない」(中央公論新社、2003/04) - その他
-
:総務庁統計局「個人消費動向の的確な把握のための検討会」委員
経済企画庁「動向把握早期化委員会」委員などを歴任。
現在、経済企画協会「ESP景気フォーキャスト調査委員会」委員、
内閣府「景気ウォッチャー調査研究会」委員
最新記事
■この資料は、情報提供の目的で三井住友アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの、または金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
■この資料に基づいてとられた投資行動等の結果については、当社は一切責任を負いません。
■この資料は、当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
■この資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■この資料の著作権は、当社に帰属します。当社の事前承認なくこの資料の全部もしくは一部を引用または複製、転送等により使用することを禁じます。
■この資料にインデックス、統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者許諾者に帰属します。
■この資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解ください。
- 宅森昭吉のエコノミックレポート
- World Watching
- アジア拠点最新レポート







