2017年4月-2018年3月のエンゲージメント活動実績

当社では、アナリスト、ファンドマネージャーが運用パフォーマンス向上を目的に、投資先企業と経常的にコンタクトしています。具体的には、経営陣・IR担当者との個別ミーティング、議決権行使を主なテーマとするガバナンスミーティング、決算説明会、施設・工場見学などを通じて、多面的な情報収集、調査分析に努めています。2017年度に企業調査グループのアナリストが実施した企業コンタクト件数は延べ約5,300件(2016年度約5,600件)に上りました。このうち個別ミーティングは約3,500件(同約3,700件)を数え、この中には取締役・執行役員への個別取材約910件(同約900件)を含みます。
当社では経営戦略全般に関する一般的な対話に加え、持続的成長、企業価値向上を促す「深い対話」への取り組みを強化しています。「深い対話」において取り上げるテーマには、経営戦略、資本政策・株主還元、IR・情報開示強化、ガバナンス強化等があります。
また、アナリストおよびエンゲージメント運用グループのファンドマネージャーが主体となった「深い対話」を通じ、企業価値向上を狙う「エンゲージメント投資」を行っております。

以下に、2017年度(2017年4月~2018年3月)に実施した個別ミーティングの事例を一部ご紹介いたします(業種区分は東証33業種)。

①東証1部 業種:機械

過去の対話で情報開示の重要性について議論した結果、実際にIR活動が拡充され、市場の評価も改善しつつあることを確認しました。さらなるステップアップとして、長期的な経営の考え方や目標を明確に示すこと、企業の信頼度を高めるには資本コストにも着目すべきことを伝えました。会社側も説明責任を果たすため、前向きに取り組んでいく考えです。

②東証1部 業種:化学

過去の対話内容を踏まえ、改めて長期ビジョンの策定とそれをどのように社内へ浸透させるかについて議論しました。他社事例を紹介することで具体的なイメージを掴んで頂き、会社側からは積極的に構造改革に向けて取り組んでいきたいとの回答を得ました。同時に、市場の理解を深めるために、IR説明会を実施するなど情報開示を拡充する必要性を伝えました。

③東証1部 業種:繊維製品

経営の持続可能性を高めるため、ESGを経営に組み込むこと、ESG情報を開示することを提案しました。他社事例も交えながら議論を行い、会社からはESGの視点を経営に組み入れることの意義について理解することができたとの回答を得ました。

④東証1部 業種:機械

事業環境や競争優位性について意見交換を行い、認識を共有しました。また、会社グループ全体でシナジー効果を発揮するための戦略について議論しました。会社側は従業員と戦略を共有し、部門間の連携やコミュニケーションを円滑にするため、積極的な意識改革に取り組んでいく方針です。

⑤東証1部 業種:電気機器

過去の体験談や社内風土、企業文化に関する理解を深めながら、事業上のリスクについて認識を共有しました。こうした対話内容を踏まえ、情報開示の拡充やIR活動の積極化を提案し、会社側からも前向きな回答を得ることができました。

⑥東証1部 業種:化学

事業特性の類型とM&Aの方針について議論しました。事業の特性やシナジー効果について認識を共有するとともに、投資家にとってもM&Aに関する企業の方針や管理方法について注目していることを伝え、他社事例を交えながら、積極的な情報開示を促しました。

⑦東証1部 業種:化学

過去の対話内容を反映し、バランスシート・マネジメントや経営におけるESGの視点、資本生産性に対する考え方が開示され始めたことを評価しました。資本生産性については、他社事例を交えながら、さらに深く議論しました。会社側からは、経営陣の知見を高め、開示内容をよりブラッシュアップしていきたいとの回答を得ました。

⑧東証1部 業種:建設業

資本政策の考え方について議論を行い、今後はバランスシートのコントロールなど主体的にROEを目的変数として管理することの重要性を説明しました。会社側からも、資金使途に関する投資家への説明が重要であることは認識しており、まずは経営陣の知見を高めていきたいとの方針を伺いました。

⑨東証1部 業種:金属製品

事業の競争優位性の強さや参入障壁について確認し、認識を共有しましたが、その競争力が十分に市場へ伝わっていない可能性があることを伝えました。会社側からは、今後も対話を通じて株式市場の評価を改善するための取組みについて提案を受けたいとの回答を得ました。

⑩東証1部 業種:化学

会社側において投資家向け意識調査を行うなど、株価に対する意識が一段と改善している点を評価する一方で、依然として企業価値に対する市場の評価が不十分であるとの認識を共有しました。こうした企業価値のディスカウントを緩和している他社事例を紹介し、投資家の理解を深めるために、IR活動をより積極化することを提案しました。

以上