アジアトーク(ASIA TALK)

REPORT

第28回:中国の環境事情に対する動きは様変わり

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発展する巨大都市上海・杭州・深センでの環境事情

■電気をエネルギーとするEVバスが公共移動の手段に
■地下鉄網の拡大・発展で大気汚染の歯止めに期待
■都会の街中に緑を取り入れる

デービッド

鷹谷さん、中国の発展を中国人の私が肌身で感じてものすごいと思いますが、日本の投資家の方はどのようにとらえていますか?

鷹谷

日本の投資家は、中国が大きな転換点を迎えていると見ている方が多いと思われます。もちろん、日本の方が進んでいることがたくさんあることは事実ですが、一方で中国は蛙飛びのように一気に発展することもたくさんあるように見えます。昨今のキャッシュレス化の動き、Eコマース(電子商取引)の台頭、それに顔認証システムやドローンなど新しい動きがすさまじい勢いで拡大していることは、低成長時代が長かった日本では想像を超えた変化と映っています。

一方で、これまで成長の陰で置き去りにされてきた環境面にも前向きな変化が出てきています。今回、中国の大商業都市である上海とそこから新幹線で1時間ほどの距離にあってアリババグループの本社がある杭州、香港に接する深センを例として取り上げ、発展する都市の環境についてどのような変化があるか日本の投資家の皆様にお伝えできればと思います。

デービッド

最近の中国の大都市における大きな変化は、次の3つになると思います。

1.エコシティに向けた電気(EV)バス

2.地下鉄網の発達による渋滞解消と大気汚染悪化の歯止め

3.都市開発の中で緑や水を生かした景観づくりが増加

中国の都市化は非常に早いスピードで進展し、現在6割近くに達するといわれています。こうしたなかで、環境破壊という都市病を解決すべく、政府は人と自然を結び付けることを重視し、環境保護や都市の緑化に取り組んでいます。

鷹谷

中国は電気自動車(EV)の導入が世界で最も進んでいますね。バスもディーゼル車から電気(EV)バスに代わってきていると聞きます。特に深センは、エコカーのモデル推進都市でもあり、公共バスは現在すべてEVバスになっています。上海や杭州はどのような状況ですか?

デービッド

上海や杭州でもEVバスの割合が高まっています。杭州は現在100%、電気や天然ガスなどを利用したクリーンエネルギーバスになっています。上海は2020年までに少なくとも約5割がクリーンエネルギーバスになる計画です。

鷹谷

思った以上にEVバスが浸透してきているのですね。

デービッド

EVバスだけでなく、天然ガスを利用した新エネルギーバスも杭州ではよく見かけます。そして香港でも、まだ多くはないですがEVバスを見ることができます。

鷹谷

中国の2017年の自動車販売は2887万台と世界一ですから、中国の新エネルギー車革命は世界の自動車産業を変えるかもしれませんね。

一方で、自動車からの排気ガス汚染から社会を守る上で地下鉄の発展も気になるところです。 

デービッド

中国の都市で地下鉄が通っているのは30都市を超えています。2018年6月現在では、上海は16本、杭州は3本、深センでは7本が開通していますが、さらに現在建設中の路線数を合わせるとそれぞれ19本、15本、14本となります。

鷹谷

地下鉄整備のスピードは目を見張るものがありますね。数年で1ラインが追加されている計算になります。さらに改札システムは既に日本同様、スマートフォン(スマホ)をかざすだけで駅に入れます。これに現在、開発が進められている顔認証が利用可能になると、利便性が飛躍的に向上しますね。

鷹谷

一方で、中国の街は緑が多いのでしょうか?私が中国を訪問すると、そのように感じますが。

デービッド

環境に優しい街づくりをする中国は、環境対策の一環として多くの緑を取り入れた街づくりを目指しています。

鷹谷

なるほど。人と自然の融合は中国の発展に欠かせないものになっているのですね。

デービッド

中国のイメージは昔と違って大きく変わってきていると思います。ひところ騒がれた大気汚染(PM2.5の濃度)も落ち着いてきています。深センはもともと高くのないですが、上海・北京・杭州でも低下してきています。

鷹谷

中国がクリーンな街づくりに力を入れてきていることがわかりました。これらは目に見えるかたちといえますが、他にはどのようなものがありますか?

デービッド

人口が多く、そして町が広い(だから不便なことが多い)ということ自体が、私たちが見ている、中国が変化する理由になっていると思います。これまでの物理的な発展に加え、スマホ、そしてアプリの活用の広がりなどソフトの発展により、それらが新たなビジネスに拡大してきています。スマホ、アプリの活用は現在の中国では生活していくには欠かせないものになっています。例えば、モバイル決済により地下鉄でも支払いはスマホになりますし、シェア自転車もスマホで利用可能です。地下鉄の利便性向上やシェア自転車の増加も環境対策になるでしょう。また、海外渡航者が増えたことで、一般の人々のモラルが向上したことも、クリーンな街づくりが加速している背景と思われます。

鷹谷

なるほど、電気自動車・バスの普及に加え、目に見えないところについてもきれいな中国を造る方向性が見えてきますね。

中国では、沿岸部のみならず内陸部も大きく発展しています。

内陸部の環境に対する進展を次回以降にお伝えできればと考えています。よろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。