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「AIIB」でアジア新興国の成長が拡大(アジア)【キーワード】

2015年11月27日

<今日のキーワード>
中国は、新シルクロード「一帯一路」戦略を軸に、アジア新興国との経済協力を強化しています。推進の決め手は、鉄道、道路、橋梁、発電設備などのインフラ建設です。年末に稼働が予定される「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」や既に設立した「シルクロード基金」による金融支援で、中国が支援を強めるこれらの国やアジア全体の将来的な成長性向上が期待されます。

【ポイント1】アジア新興国に中国が強力にアプローチ

インフラ整備への協力が中国の交渉カード
■中国は、来年スタートする5カ年計画で「一帯一路」戦略を強化する方針です。この戦略により、海陸の2つのルートで欧州に通じる物流ルートを構築し、貿易促進により中高速の成長を図る計画です。そのため、インド洋に通じるルートの確保が中国には重要で、周辺新興国との友好関係構築と経済協力を推進しています。

■中国の交渉カードは、豊富な財政資金を背景としたインフラ整備への協力です。交渉の特徴は、相手国トップとの交渉による、「一帯一路」戦略への支持とその見返りとしてのインフラ整備への協力です。その金融支援の要となるのが「AIIB」です。

【ポイント2】「AIIB」は年内稼働へ

欧州勢の協力で準備進む
■「AIIB」は11月4日時点で、創設メンバー57カ国のうち、54カ国が署名し、年内の稼働が予定されています。米国や日本は当初は参加しないものの、英国やドイツなどの欧州勢が後押しし、準備が進んでいます。

■創設メンバーには、中国の戦略である「一帯一路」の沿線国が多く見られ、こうした国のインフラ案件に投資が行われることが期待されています。

【今後の展開】将来的な貿易拡大も

■中国と欧州への物流ルート構築のメリット
物流ルート構築を通じて、相互に成長することが中国の狙いです。これは、アジア新興国にとって、中国との経済協力を進め易いテーマです。アジア新興国にとって、中国と欧州という二大経済圏への物流ルート構築は、成長の基礎となります。

■インフラ整備の次は、貿易と消費の拡大
アジア新興国には人口が多く若い国が多く、インフラ整備の次に、消費拡大に伴う貿易の活発化につながることも、中国がこうした国へアプローチを強める背景です。「AIIB」の稼働によるアジアと欧州間の物流ルート構築で、アジア全体の成長の高まりが期待されます。

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