ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,289】2014年「全人代」後の中国と市場の見方(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,289】2014年「全人代」後の中国と市場の見方(中国)

2014年3月17日

1.2014年の「全人代」の焦点は?

 今年の全人代は5日~13日に開かれました。市場では①理財商品などシャドーバンキング拡大の抑制、②今後の成長戦略や対外開放、③環境対策をはじめ国内の不満解消への対応などが注目されました。

2.最近の動向

 全人代は、実質GDPの成長目標を前年比+7.5%「前後」とすることを決定しました。
 李首相は「前後」という表現が示すように、成長率の多少の振れは容認するとしました。都市部で年1,000万人以上の雇用創出など、成長の内容・質も踏まえた柔軟な目標設定であることを示したものです。
 加えて、今年は7割近い地方の省・直轄市も成長目標を引き下げ、慎重な経済運営は全国的なものとなりました。また、環境対策も地方のトップの重要な人事評価ポイントとなります。
 李首相は金融部門に関しては、「個別の状況では(デフォルトは)避けがたい」との認識を示す一方、金融システムのリスクを避けるために監督能力を強化する方針を示しました。具体的には、「預金保険」を年内に創設する方針(李首相)や、預金金利の自由化の実施は1~2年以内と見込む(周中銀総裁)との見解が発表され、市場は時期のメドが示されたことを好感しました。

3.今後の展開

 「預金保険」は取り付け騒ぎなどを未然に防ぐ効果が期待でき、預金金利の自由化は理財商品に見劣りする預金金利の引き上げを可能にします。これら取り組みに加え、最近は中国初の社債デフォルトが発生しましたが、市場ではこれも将来の規律維持につながると前向きに受け止める声が多く聞かれました。
 こうして金融システムへの懸念は抑えられていますが、改革を進める過程では成長が抑えられ、経済運営はより難しくなります。実際に、市場では今年1-3月期の景気は鈍化するとの懸念も浮上してきました。
 しかし、これまでの慎重な経済運営により、中国の財政は健全、かつ、物価も抑えられており、政策の「微調整」を行う余地は充分にあると思われます。今年は財政支出や銀行貸出を若干拡大させる政策も充分に想定され、まずは年半ばにかけての景気の足取り、改革案の具体化などが注目されそうです。

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