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【キーワード No.1,303】中国が刺激策発表、景気にテコ入れ(中国)

2014年4月7日

1.中国の刺激策とは?

 中国の2013年の実質GDP成長率は前年比+7.7%となり、成長目標であった「年+7.5%」を達成しました。
 一方、今年に入ると1-2月の生産、消費、投資などの経済指標の伸びが大きく鈍化しました。このため、3月の全人代で設定した2014年の成長目標「年+7.5%前後」が達成できなくなるとの見方が早くも浮上し、また同時に、4-6月期に景気刺激策があるかもしれないとの期待にもつながっていました。

2.最近の動向

 中国政府(国務院)は2日の常務会議で景気支援策の枠組みを発表しました。内容は、①零細企業向けの税優遇、②低所得者向け住宅開発の金融支援、③鉄道開発計画のテコ入れ策です。
 注目は財政支出の規模などが把握しやすい鉄道開発です。今回は毎年2,000億元~3,000億元規模(約3.3兆円~約5.0兆円、以下為替は1元=16.7円で換算)の開発基金の新設などが盛り込まれました。

3.今後の展開

 鉄道開発計画の規模を3,000億元とすると、昨年の名目GDP56.9兆元(約950兆円)の約0.5%に相当します。今後も中国政府は刺激策を機動的に実施し、改革と高めの成長の両立を目指すと思われます。
 注目されるのは、鉄道開発と「市場原理」の組み合わせです。「新都市化」を成長戦略の主眼に置いた中国政府は、従来から鉄道開発の重要性を認識していました。しかし、鉄道部(省に相当)や関連国有企業では既得権益層の発言力が強く、効率化は遅れていました。このため、2011年の高速鉄道事故以降、鉄道計画全体に改革のメスが入り、この間、「鉄道」は成長戦略の前面に出にくい分野となりました。今回、鉄道が刺激策の対象となったのは、習近平政権の改革実行に対する自信の表れと思われます。この案件が、新政権下でインフラ拡充と改革を両立する際の、良いモデルケースとなることが期待されます。
 加えて、今回の刺激策は、零細企業への税優遇、住宅開発への金融支援なども盛り込んだ、複合的なものです。決定はまだ枠組みの段階で、今後具体策を詰める必要があるものの、企業を中心に景況感が押し上げられ、中国は今年も7%台前半~半ばの成長を達成できるとの期待が高まりそうです。

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