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EUはトルコと欧州「難民」抑制で新合意(欧州)【キーワード】

2016年3月11日

<今日のキーワード>
「難民」は、民族紛争や迫害などで、自らの居住国・地域を離れざるを得ない人々のことを言います。2015年に欧州連合(EU)に「難民」申請した人は約126万人となり、そのうち、約36万人が内戦が激化したシリアからの「難民」でした。EUは、「難民」の流入を抑制するため、8日にトルコと新たな「難民」抑制策で大筋合意しました。EUは、17日~18日のEU首脳会議で「難民」抑制策の最終合意を目指します。

【ポイント1】トルコ経由でギリシャに渡った「難民」はすべて、トルコに送還

EUはトルコ内のシリア「難民」を引き受け

■EUとトルコは8日、新たな「難民」抑制策で大筋合意しました。EUは陸路の国境管理を強化したため、海路での「難民」の密航が増えたことが背景です。

■トルコは、「難民」を自国にとどめる代わりに、EUから受け取る支援金を60億ユーロへと倍増を要求しました。しかし、一部のEU加盟国が慎重な態度を示し、最終合意はEU首脳会合に持ち越されました。

【ポイント2】EU基本法では、負担に偏り

シリアの内戦激化により「難民」急増

■EUで難民問題が解決に向けてスムーズに進まない理由は、大きく2つあります。それは、①加盟国間の利害調整の難航、②経済的理由による偽装「難民」が紛れたことによる「難民」数の急増、です。

■EUの基本法では、「難民」の保護は最初に到着した国が責任を負う、と決められています。これではEU域外に面する国に負担が集中してしまいます。

■また、シリアの内戦激化によるシリアからの「難民」の急増は、各国からの偽装「難民」も増やすこととなりました。

【今後の展開】EUは「難民」の流入抑制の強化へ

■EU首脳会議で、足並みを揃えられるか注目
EU首脳会議では、これまで「難民」の各加盟国の分担などを決めてきました。しかし、この決定に従わない国があり、同会議の拘束力に疑念が生じています。今回、「難民」の流入抑制に向けて、EU加盟国が足並みを揃え、最終合意に達することが出来るかが注目されます。

■シリア和平協議の進展が最終的なカギ
14日に、シリア和平に関する実質的な協議が再開される見込みです。停戦合意が「難民」問題解決の一つのカギですが、交渉には時間を要すると見られます。それまでは、200万人超のシリアからの「難民」をすでに受け入れているトルコへの支援拡大と、「難民」への地球的規模での人道的支援拡大が期待されます。

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