ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,272】日銀は「貸出支援策」を2倍に拡充(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,272】日銀は「貸出支援策」を2倍に拡充(日本)

2014年2月20日

1.日銀の現在の金融政策は?

 日銀では昨年3月に正副総裁が一斉に交代となり、黒田総裁による新体制の下、昨年4月に『量的・質的金融緩和』を導入しました。これは、マネタリーベースおよび長期国債・ETFなどの保有額を2年間で2倍にすることにより、消費者物価の前年比上昇率2%の『物価安定の目標』を、この2年程度の期間で達成することを目標としています。またこの他、金融機関の貸出増加のための支援などを行っています。

2.最近の動向

 日銀は17日~18日の金融政策決定会合において、『量的・質的金融緩和』に伴うマネタリーベースの増加ペースや、長期国債等の買入れペースを維持しました。一方、今年3月末で期限を迎える、主に以下2つの「貸出支援策」の期限をそれぞれ1年延長し、内容も拡充しました。
 1つ目は、金融機関に対する「成長基盤強化を支援するための資金供給」です。これは、貸付枠が従来の3.5兆円から7兆円へと2倍に、対象金融機関毎の上限が1,500億円から1兆円に引き上げられました。
 2つ目は、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の促進を目的とした「貸出増加を支援するための資金供給」です。これは貸付限度額が金融機関の貸出増加額の2倍相当額(従来は同額)に引き上げられました。日銀はこれにより最終的な貸付残高を30兆円程度と見込んでいます。
 いずれも固定金利で0.1%、期間は4年間(従来は1~3年間)とされており、低金利かつより長期間の貸付が促進されます。

3.今後の展開

 黒田総裁は会合後の会見で、今回の「貸出支援策」の延長・拡充は、昨年導入した『量的・質的金融緩和』によって大幅に上がったエンジンの馬力に対し、その性能を生かすためにタイヤを強化したようなもの、と発言しました。低金利の「貸出支援策」を拡充することで資金需要を促し、『量的・質的金融緩和』によって市場に増加させた資金を行き渡らせることがねらいです。今回の政策変更でも用いられた「2倍」というキーワードは、昨年の『量的・質的金融緩和』導入時を思い起こさせ、18日の日経平均株価は前日比約+450円の大幅上昇となりました。市場では未だ追加金融緩和への期待も根強く、黒田日銀が今後も市場の期待に応え、経済の活性化に繋げられるかに注目です。

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